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フレッシュマン若大将

1969年、東宝、福田純監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

日東自動車の入社試験に向かう若大将こと田沼雄一(加山雄三)は、ひょんな事から、親戚の老人を駅に送るため同じタクシーを呼び止めた高木節子(酒井和歌子)と同乗する事になる。

その結果、入社試験の時間に遅れた雄一は、会社入口で車を磨いていた老人を、猪俣社長(藤田進)と知らずに気安く言葉を交えた事が幸いし、無事入社を果たす。

一方、妹の照子(中真千子)は、田沼の同級生、江口(江原達怡)と結婚式を執り行なう。
司会を勤めるのは、落第して大学に残った青大将こと、石山新二郎(田中邦衛)。
娘を嫁がせ寂しさに浸っていた久太郎(有島一郎)は、雄一らにせがまれて偶然入った「ジャッキー(ジャクリーン・ケネディの愛称)」というバーで、そこのママ、めぐみ(草笛光子)と出会い、一目で惚れてしまう。

田能久の店をすっかり若夫婦に任せっきりになった久太郎は、それからというもの、足しげくめぐみの元へ出かけるようになり、何時しか、彼女との結婚を考えるまでになっていた。

しかし、めぐみには、すでに大梨(オナシスの洒落=左卜全)という金持ちの結婚相手がいた。

失恋してがっくりする久太郎、それを慰める雄一。

しかし、その雄一自身も、サービス課に転入した後、レンタカー会社に勤める節子と偶然再会するものの、彼女の自動車修理工を勤める兄(藤木悠)とのコミュニケーションもうまく取れず、二人の仲は暗礁に乗り上げてしまう。

その頃、大学を中退し、自分の父親が経営する東西オートの副社長になった青大将は、雄一の上司、藤原課長(藤岡琢也)に、両社共通のお得意先、北斗観光の竹内社長(高田稔)が上京するので、接待して欲しいと会社に依頼しに来る。

ところが、雄一と共に空港へ迎えに出かけた青大将は一人、かねてお目当てだった節子を捜しに出かけてしまい、竹内社長の顔を知らない雄一は、まんまとライバル会社の中央モータースの連中に、その社長を連れて行かれてしまう。

やがて、その北斗観光から、日東自動車の自動車に、続けざまに欠陥が見つかったので、中央モータースの車に切り替えるという話が飛び込んでくる。

節子の兄の所で修理工の練習を積み、免許を取得していた雄一は、青大将と共に北海道へ飛ぶ事となるのだが…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

若大将に扮する加山が30代になり、さすがにもう大学生という設定では通用しなくなって来たので、東宝お得意のサラリーマンものへ転身させた最初の作品。

恋人役も本作から、従来の澄ちゃんこと星由里子から、節ちゃんこと酒井和歌子に変わっている。

大学生もののイメージが強かった本シリーズだけに、サラリーマンものになっては魅力も半減するだろうとの予測を見事に裏切り、本作は従来のシリーズとはひと味違った独自の面白さを獲得している。

特筆すべきは、久太郎こと有島一郎の面白さが全開している事。
青大将こと田中邦衛の面白さも絶好調!(本作では、当時流行していたピンキラこと「ピンキーとキラーズ」の扮装で登場する)
この二人の面白さが、本作の魅力を一手に引き受けている感じがするほどだ。

日東自動車で若大将を気に入る女子社員に、山田淳子(高橋紀子)、大島昌子(岡田可愛)ら。
竹内社長の娘で、北海道での若大将に協力するみどり(長慶子)などが登場する。

正直、シリーズものとしては陰りを見せ始めていた時期の作品だが、面白さでは決して全盛期にひけをとっていない秀作と言えよう。

雄一の祖母りき(飯田蝶子)も派手なネグリジェ姿を披露し、まだまだ元気な所を見せてくれるのが嬉しい。