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男性No.1

1955年、東宝、山本嘉次郎監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

ウエルター級の世界チャンピオンを狙う新人ボクサー島村一郎(藤木悠)のマネージャーを勤めているのは、田宮興行の顔役、ビッグ牧(三船敏郎)であった。

彼は、会場の近辺でダフ屋行為を見つかり、子分らから連れてこられたチンピラの袋田(大村千吉)から、背後で手を引いている「らっきょうの健」こと、三原健(鶴田浩二)の存在を知らされる。

さっそく、その健を痛めつけようと捜しまわっていた牧らは、美容院で女性たちに混じり、唯一人パーマを当ててている優男、健を見つけるが、店のママの機転でちゃっかりその場から健は逃げてしまう。
とにかく、健は、銀座中の若い女性に人気がある名うてのプレイボーイだったのである。

しかし、結局、牧に捕まった健は、度胸の座った所を見せ、袋田と共に解放された後、すっかり牧に気に入られ、兄弟付き合いをするようになる。

そんな牧がお気に入りだった女が、バー「プランタン」で働く高子(越路吹雪)。
しかし、その高子はその以前から健の恋人であったのだ。

一方、健はプレイガイドに勤める光子(岡田茉莉子)から、いつも、色々なチケットを横流しにしてもらっていた。
健は、小料理屋を持ちたいとかねがね願っている老いた母親(浦辺粂子)のために、ダフ屋稼業でコツコツと溜めて来た金を、高利を謳う「安全経済会」という所に預けていたのだったが、その「安全経済会」の組織が破産してしまい、一夜の内に一文無しになってしまう。

そんな健に、島村に八百長をさせるようにしむける依頼が兄貴分からあった。
牧の人柄に惹かれている健は苦悩するが、やがて、高子との仲をわざと牧に見せつけたりして、牧が自分に愛想を付かせるようにしむけて行く。

そして、島村を懐柔した後、試合の終了後、八百長工作がばれた健は牧の逆鱗に触れ、高架下で袋だたきにあう。

そかし、その場に駆け付けた母親の謝罪の言葉にほだされた牧は、健の口から真の黒幕を教えられ、二人してその黒幕を叩きのめしに出かける…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

一本気の性格ながら、昔がたきで腹の中はきれいなヤクザ、牧と、金に執着しながらも、どこか他人に甘えて生きるチンピラ、健との友情物語になっている。

劇中では鶴田浩二演じる健が、三船演じる牧を「兄貴、兄貴」と呼んでいるが、タイトルでは鶴田の名の方が先に出る。

1948年の「遊侠の群れ」でデビューした鶴田の方が、1947年の「銀嶺の果て」でデビューした三船より後輩に当たるはずなのだが、この待遇にはどういう事情があったのだろう?

どこか、松本明子に面影が似ている若き岡田茉莉子が一服の清涼剤的役割をになっている。

三船と鶴田の魅力が生かされた佳作といって良いだろう。