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博奕打ち 総長賭博

1968年、東映京都、笠原和夫脚本、山下耕作監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

昭和10年、大陸の川島機関と手を組み、政治結社を作ろうとする政治家に協力するよう紹介した天龍一家の兄弟会組長、仙波(金子信雄)の勧めを断った、天龍一家の初代組長、荒川(香川良介)が脳いっ血で倒れる。

早速、跡目の人選が始まるが、最初に名前が上がった天龍一家六人衆の一人、中井信次郎(鶴田浩二)は辞退、兄弟分の松田鉄男(若山富三郎)を推挙するも、現在ムショ暮し中…という事で、弟分の石戸孝平(名和宏)を船場が推す形で決定してしまう。

そんな中、松田が仮出所で、女房の弘江(藤純子)の元へ帰ってくる。
弘江は、中井の実の妹でもあった。

松田は、ニ代目が石戸に決定した話を中井から聞かされ、仁義に反するといきり立つ。

一旦は、中井の説得で納得した松田であったが、その松田が旅行中、かつて自分が襲った桜会の若衆に襲われ、それを石戸の差し金と思い込んだ松田は、石戸に喧嘩を売ってしまう。

さらに、戻った中井が松田を再度説得したと思えたのもつかの間、松田の舎弟、音吉(三上真一郎)が松田の気持ちを代弁する形で石戸を襲ってしまう。

その後始末に奔走する中井の気持ちも知らず、さらに暴走しようとする松戸。
音吉の身体を預かった中井の妻、つや子(桜町弘子)は、自らの命をを絶つ事で、こじれた二人の兄弟分の仲を修復しようとする。

しかし、松田の気持ちは治まらない。
中井は、つや子の墓前で、松田との兄弟分の証だった盃を割ってしまうのだった。

やがて、全国の親分衆を集め、ニ代目襲名披露花会が修善寺で開催される事に…。

何とか一家をまとめようとする中井の気持ちとは裏腹に、事態は悪い方へ、悪い方へと転がって行ってしまう。
花会の最中、その花代を、政治結社の資金に奪ってしまおうと画策する仙波の策略を知った中井は…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

義理と人情の板挟みになる典型的な仁侠もののパターンながら、脚本の見事さから、泣かせる所は泣かせ、途中だれる事もなく、一気にテンポ良く、最後の最後まで観客を引き付けて行く。

「ヤクザ映画」なんて…という偏見を見事に覆させる人情劇の傑作!
日本映画らしく、しっとりとした落ち着いた画面構成の中、最後まで、押さえた演技を見せる鶴田浩二の悲愴感が素晴らしい。