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アルプスの若大将

1966年、東宝、古沢憲吾監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

マッターホルンの頂きの風景から作品は始まる。

学会発表のため渡欧中の山下教授(北竜二)に随行してきた若大将こと、田沼雄一(加山雄三)は、スイス、シェルマットで、同じく旅行中の岸澄子(星由里子)と出会う。

澄子は、パンナムのローマ支店で働いていた。
後日、若大将とローマで再会した澄子は市内を観光案内してやる。

同じく、教授に無理矢理随行していた青大将こと、石山新次郎(田中邦衛)は、各地でリシェンヌ、クリスティーナ、ソフィアら女性陣らと宜しくやっていたらしい。

帰国後、来るべくライバル校、西北戦に向けて、スキーの練習に励む若大将たち京南大のスキー部。

そんな中、青大将から若大将は、とんでもない頼みごとをされる。
何と、パリで声をかけたリシェンヌ(イーデス・ハンソン)という娘が、青大将の誘いを真に受けて、日本に来るという。ついては、自分の家には泊められないので、田能久に泊めてやってくれないかというのである。

呆れながらも、人の良い若大将、空港に迎えに行き、リシェンヌを実家の田能久に案内してやる。
同じ空港で、東京支店に転勤となった澄子とも再び再会するのだが、同行した石山の巧みな話にごまかされた澄子は、リシェンヌを若大将の彼女だと思い込んでしまう。

田能久に到着したリシェンヌ。
最初は、その宿泊に難色を示していた久太郎(有島一郎)だったが、店にやってきた外国人客への対応でへまをしてしまった自分を助けてくれた事がきっかけとなり、しぶしぶながらも彼女を店に住み込ませる事となる。

ヨーロッパ旅行を映した8mmフイルム上映会の夜、田能久に招いた澄子とリシェンヌを間に置いて、各々に気がある青大将と久太郎は、暗闇の中、互いの手を女性たちの背後で、間違えて握りしめる一幕も…。

苗場のスキー場での合宿中、若大将は、やくざの赤田(荒木保夫)に連れられた金持ちの娘、清水知子(若林映子)と出会う。

一方、若大将に会いたくて、青大将の車でやってきた澄子は、ホテルで、若大将を夕食に誘うその知子、さらに、大学の同級生、悦子(松原光子)らとも鉢合わせしてしまう。

翌日、スキー部の合宿風景を見たいと、赤田に案内を頼んだ澄子は、途中の山小屋で赤田に襲われる。
悦子と共に山を登ってきた青大将も、駆け付けるが歯が立たない。

折よく、知子と一緒に、近くまで滑ってきていた若大将が赤田をやっつけ、何とかその場を治める。
しかし、澄子の軽率な行動を若大将が注意した事で、澄子はむくれてしまう。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

お馴染み「若大将シリーズ」第7弾。

前作「エレキの若大将」で大ブレイクした加山人気を象徴するように、本作はほとんど加山雄三のアイドル映画のような作りになっている。

前半は、完全にヨーロッパの観光映画のような趣き。
オーストリアで、加山が、オリンピック史上初の三冠王で、映画「白銀は招くよ!」などでもお馴染みのスキーヤー、トニー・ザイラーと親し気に会話するシーンなどもある。

歌のサービスも満載で、前作でのヒット曲「君といつまでも」をはじめ、「走れドンキー」「ブライト・ホーン」「夕陽は赤く」「モンテ・ローザ」「スキー・ア・ゴー・ゴー」「蒼い星くず」「クレイジー・ドライヴィング」などを次々に披露する。

その分、ストーリーの方はややマンネリ気味で、日本語が達者なイーデス・ハンソンのエピソードが変化を付けているくらいか。
この頃になると、さすがに加山も田中邦衛も大学生には見えなくなっており、青大将などは、同級生の悦子に「おっさん」呼ばわりされているのが哀しい。

澄ちゃんこと、星由里子のキャラクターも、段々、目的のために、青大将や赤田を利用するだけの、ヤな女になってきているのが気にならないでもない。

前作でも、内田裕也が「マイネームイズ、ショーン・コネリー」とベタなギャグをかましていたし、本作でも祖母のりく(飯田蝶子)が007の小説に熱中しており、雄一の事を「ちょっとしたジェームズ・ボンドだね〜」と持ち上げるシーンがあるのに、時代を感じる。

それでも、数あるスポーツの中でも、加山お得意のスキーのシーンが心地よい。
後年、この映画に触発される形で「私をスキーに連れてって」が作られたのは有名。