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十三人の刺客

1963年、東映京都、工藤栄一監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

弘化元年、将軍の弟に当たるが、その粗暴かつ好色な性格で数々の不祥事を起こしていた、播州明石の領主、松平左兵衛督斉韶 (菅貫太郎)の家臣、間宮某が抗議の切腹をする。

しかし、その行為を主君への背信と受け取った斉韶 (なりつぐ)は、間宮の家族郎党を捕らえ、何とか思いとどまらせようとする家臣、鬼頭半兵衛(内田良平)を他所に、女子供に至るまで惨殺してしまう。

こうした所行を見兼ねた、時の老中、土井大炊頭利位(丹波哲郎)は、お目付役、島田新左衛門(片岡千恵蔵)を呼び、事の子細を告げた上で、斉韶 暗殺を命ずるのだった。

新左衛門は、かねてより懇意の剣の達人、平山九十郎(西村晃)をはじめ、友人の倉永左平太(嵐寛寿郎)、芸者と同棲し、放蕩三昧の生活を送っていた甥の島田新六郎(里見浩太郎)ら11人の助っ人を集める。

一方、鋭敏な鬼頭は、新左衛門らの主君暗殺の動きを逸早く察知し警戒を始める。

10月24日、参勤交代のため、斉韶一行は江戸屋敷を出立する。
新左衛門たちは、これを機会と集結し、途中の河原で襲撃しようと待ち受けたが、鬼頭の防衛策は完璧で迂闊に近付く事ができない。

後日、平山が一つの計画を持ち出す。
かつて、御陣家に泊めたばかりに、一人娘を斉韶 に弄ばれ、その若き夫までも惨殺させられた、尾張の牧野靭負(月形龍之介)に頼み、尾張藩への道を通行止めにしてもらい、斉韶一行の道筋を変えてしまおうというのであった。

こうして新左衛門らは、斉韶一行が必ず通る事になる落合の宿に罠を仕掛け、その到着を待ち受けるのだが、その計画に気付かれたのか、斉韶一行の姿は街道筋からぷっつりと消息を絶ってしまう…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「忠臣蔵」と「七人の侍」のテイストをミックスしたような内容で、後年の東宝映画「四十七人の刺客」(1994)の原点となった作品(両方共、脚本は池上金男=池宮影一郎)だが、出来は雲泥の差。

本作は、「七人の侍」と並ぶ、時代劇の傑作の一本といって良いだろう。

前半の怖いほど静かな進行。
知将、鬼頭と平山らの虚々実々の策略合戦。
落合の宿で杳として行方のつかめぬ斉韶一行を待ち受ける襲撃者たちの不安とサスペンス。
そして、後半部、罠で封鎖された狭い宿場空間での53人対13人の、手の汗する壮絶な戦い…。
その構成は見事というしかない。

驚くほどのイケメン剣士、里見浩太郎。
落合の宿で13人目の助っ人として志願してくる土地の若者、小弥太役で山城新伍(テレビ「白馬童子」の後で、松方弘樹主演映画「伊賀の影丸」に出演していた頃)。
その山城が思いを寄せる娘かよ役で、若き藤純子も出演していて驚かされるが、何といっても、鬼頭を演ずる内田良平と平山を演ずる西村晃のかっこ良さが秀逸!

時代劇ファンなら、本作に3人の「水戸黄門」が出演している事に気付くはず。
一人は、もちろん、映画版で有名だった月形龍之介。
後の二人はテレビ版でお馴染みの、西村晃と里見浩太郎である。

特撮ファンなら、劇中で聞き覚えのあるフレーズに出会い、驚くはず。
「VSメカゴジラ」(1993)のテーマである。(もちろん、音楽は伊福部昭!)

往年の日本映画の底力を思い知らされる事、請け合い。必見!