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ルパン三世・念力珍作戦

1974年、東宝&国際放映、長野洋脚本、坪島孝監督作品。


アニメ版はもうやっていた(1971年〜)時期の実写化作品という事になる。

企画は何と、赤塚不二夫と中山千夏(「ひょっこりひょうたん島」の博士!)の両才人コンビ!


銭形の上司役で、同じく「ひょっこりひょうたん島」のドン・ガバチョ、藤村有弘も登場。

物語は、護送車で刑務所へ移送途中の峰不二子(江崎英子)を見染めたルパン(目黒祐樹)が、彼女を刑務所から脱走させ、求愛の印のチュ−をしようとするが、まんまと逃げられ、銭形のとっつぁん(伊東四朗!)に捕まる冒頭部分。

ルパン二世が築き上げたルパン帝国最後の生き残り、次元大介(田中邦衛!!)が、ルパンの末裔ルパン三世(胸にLの飾り文字?が生まれつき付いている)を日本に捜しに訪れ、再会を無事果たすエピソード。

世界中の暗黒組織の面々が、「スパイ大作戦」もどきに指令を受け(指令の声は大平透)、ルパン暗殺を目論むエピソード。

後半は、目の部分に光る石を埋め込んだウルトラ国宝級の秘宝「遮光器土偶」の移送計画を知ったルパンたちと暗黒組織が、それを互いに奪おうと戦う…という、おおまかな流れになっている。

全体のストーリーの面白さで見せる作品と言うより、小ネタの連続で楽しませる作り方になっている。

元東宝特撮の流れを継いだ東宝映像が協力しているからか、地味ながらも凝った特撮が随所で使われている。

例えば、宝石を盗みに入ったルパンが、警備員ともみ合いになり高圧電流に触れ感電するシーン。
ちゃんと、半透明の青い電気の放電の様子がアニメで丁寧に加えられていたり、物語途中には、簡単なマスク合成ながら「浅間山噴火」の様子が入れられていたり、ルパンのベッドシーンにはアニメが挿入されていたり…と、特撮ファンには嬉しいシーンが盛り沢山。

教会で育ったルパンの回想シーンの部分に、海援隊の「母に捧げるバラード」が使われていたり、「日本沈没」をネタにしたギャグがあるのには、さすがに時代を感じさせられる。

目黒祐樹は、ルパン独特のファッションではないせいもあって、どう観ても「育ちの良い金持ちのボンボン」みたいにしか見えず、好色さ、やんちゃさ、野性味に欠ける感じはあるが、良く健闘している方だろう。
どちらかといえば、キャラクターとしては、むしろ、兄(松方弘樹)の方が、ルパン向きではないかと思われるが…。

一番意外だったのは、田中邦衛が、それなりに次元に見える事!
教会に現れた全身黒づくめの殺し屋(天本英世)ら三人を、たった0.3秒で射殺してしまう所なんか、かっこいい!

この田中邦衛版「次元」を観るだけでも、この作品を観る価値ありと思える。
おそらく、「ルパンの実写なんて…?」…という大半の人の想像以上に、面白い作品だと言える。
珍品ではあるが、アイデアも豊富で、ドタバタコメディとしてはそれなりに楽しめる事請け合い。