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ロッパの新婚旅行

1940年、東宝、山本嘉次郎監督作品、制作主任は黒澤明である。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

ビール会社の社長、ガラマサどん(古川録波)は、朝風呂で義太夫を唸るのが大好き。
毎日、西洋歌をのんきに歌っている一人息子の一郎(録波-二役)に嫁を持たそうと考え、今はレコード店をやっている、かつての使用人夫婦、金助(川田義雄)、おかね(清川虹子)に相談する。

由緒ある家の娘で、レコード歌手の竹本暎子(渡辺はま子)に白羽の矢をたてるが、当の一郎には、おでん屋で働くお千代(三益愛子)という恋人がいた。

お千代に押し切られる形で結婚した一郎、家を出てしまったので、未経験の貧乏生活を強いられる事になる。
再び、おでん屋で働くようになったお千代に、ちんどん屋の仕事をやらないか…と勧められる一郎だったが、生来の怠け者、なかなか承知しようとしない。

ある日、毎日聞こえてくる歌声にいらだった一郎、その歌声の家に文句を言いに出かけると、何とそこは、竹本暎子の住まい。

一郎、暎子に接待される内に、音楽会の招待券を売り付けられるはめに。

家に戻って、その券を確認した一郎、一枚5円で10枚で500円という高額であるのに驚きあわてる。

やむなく、ちんどん屋になって働く一郎。
バトンを振りながら、ジャズ風のモダンな歌声で街を練り歩く。

それを喜ぶお千代は、いつしか妊っていた。

やがて、父親に呼び戻された一郎とお千代、良い苦労を経験させてくれたと、お千代に礼をいうと、ガラマサどんは、二人を改めて新婚旅行に出かけさせる。

旅先で、お千代が無事男児を出産した事実を知らされたガラマサどん、会社で社員全員にビールをふるまう御機嫌振り。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

一種の音楽コメディでもある。

本物の歌手である渡辺はま子の美声。
つややかな声で歌う一郎役の録波。

他愛無いといえば他愛無い内容。
今の感覚で観て、ものすごく面白いというものでもないが、親子を一人で演じ分ける録波の芸が楽しい。
ガラマサどんに扮する独特の老人キャラは、「家光と彦左」(1941)でもお馴染み。
一ケ所だけ、二人が同一画面に登場する見事な合成シーンがある。

戦前の、のんびりとした庶民と富裕階級の生活振りを知る事ができるだけでも貴重な作品と言えよう。