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喜劇・大誘拐

1976年、松竹、前田陽一監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

毎日、同じ電車で長距離通勤しているうちに意気投合した4人組があった。

婚約者、山下礼子(夏純子)とマイホーム資金として300万納入したものの、建築会社から、資材高騰のため、さらに150万要求されて思案に暮れているサラリーマン赤木勝彦(森田健作)。

余命1年しか持たないと医者から宣告された病身の妻を看護しながら、自分も会社を解雇されてしまった中谷洋平(三木のり平)。

就職できずアルバイトで生活している青年、内野(小倉一郎)。
そして、弱小映像プロダクションに勤める蒲生(岸部シロー)。

夜、彼ら4人は、礼子の働く飲み屋でいつものように飲んでいる内に、蒲生が最近撮影した日本一の土地成金、北上大作(小池朝雄)が出演しているテレビコマーシャルを観る。
4人は、酒の上の話から、その北上の家族を誘拐でもして大金を得たいと冗談半分で盛り上がりはじめる。

しかし、後日、中谷だけは、その話を冗談では済ませない気持ちであるのを、他の三人は知る事となる。

成りゆき上、北上の家族構成を調べた彼ら4人は、テレビドラマの撮影隊に化け、大作の孫にあたる剛を誘拐する事に…。

しかし、途中で怖じ気付いた内野をきっかけに、全員の気持ちはぐらつき始め、結局、剛はタクシーで帰してしまう。

ところが、帰宅した彼らの車のトランクには、あろう事か、剛と一緒に忍者ごっこをしていた祖母、北野マツ(ミヤコ蝶々)が隠れ潜んでいた。

マツは、4人組の困窮振りを知って、誘拐に自ら加担すると言い出す。
土地成り金になったばっかりに、政治家への野心に燃え、かつてとは人が変わってしまった息子を諌める気持ちもあり、マツは大作に身代金5億円を要求するのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

1979年度日本推理作家協会賞を受賞し、1991年に岡本喜八監督によって映画化された天童真原作のミステリー「大誘拐」(映画名は「大誘拐Rainbow Kids」)と、タイトルも内容も酷似しているのが気になるが、どうやら、こちらの映画の方が早いようだ。

白髪のおばあちゃん役ながら、まだ肌もみずみずしく、可愛らしいミヤコ蝶々の愛嬌のある演技が見どころ。
北上大作の秘書役で、当時、政務次官を勤めた立川談志が出演している所にも注目したい。

松竹の喜劇らしく、何となく「ウエットな人情話」風に展開していく所に観る人の好みが別れるだろうが、出来としては、まぁまぁといった所ではないか。

後半、二転三転するミステリー劇としても楽しめる。