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ユリョン

韓国と日本が戦争をする…というコミックが、韓国の若い漫画家によって描かれた事は知っていたが、この作品を観ても、そうした発想が、決して韓国では、一部の人間だけの物ではない事を、改めて思い知らされた。
積年の怨みの重さ…とでも言うのか…。
力を持つ幻想は責められるが、力がなければ辱められる…。
加害者側である、我が国側の現状にも、国際社会の中において、どこか通ずる所があるような気がする。
娯楽映画としては、突出して優れているとも思えないが、技術的にちゃちさはないし、何より、その作り手側の強いパワーが全体からビンビン伝わってくるのが凄い。
現在の邦画でも、技術面からだけ言えば、これと同じようなレベルの作品は作れそうな気はするのだが、これほど強い「念」を持った作家はいないのではないだろうか。
「民族的怨念」を背負いながらも、存在そのものを許されない「幽霊」潜水艦ユリョン…、その中で繰り広げられるギリギリの人間ドラマに、戦慄しない観客は少ないはずだ。