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世界を賭ける恋

1959年、日活、武者小路実篤「愛と死」原作、滝沢英輔監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

若き建築家、村岡雄二(石原裕次郎)は、展覧会場で、同じ建築家の先輩である野々村欽也(葉山良二)を友人から紹介される。
その時、同伴していた野々村の美しい妹、夏子(浅丘ルリ子)に目を奪われる村岡。

実は、以前、海辺で見事な逆立ちを友だち相手に披露していた(もちろん代役)、高校生時代の彼女と出会っていた事を、彼は思い出したのだった。
色々教えを請うために、野々村の家を訪れるようになってから、急速に接近して行く夏子と村岡。

やがて、村岡に、ヨーロッパでのコンペ出展の機会が訪れる。
夏子とのしばしの別れに迷いながらも、村岡は彼女との結婚を決意し、自らの勉強もかね、3ヶ月の北欧旅行へ出かける。
夏子も、村岡との再会を一日千秋の思いで待ちわびながら、花嫁修行に励む。
一日づつ、消されて行く夏子のカレンダー。

そして、あっという間に3ヶ月は過ぎ、村岡は東京に戻るため、現地の空港に到着する。
出発直前の空港で、村岡がパイロットから渡された電報には、東京からの信じられない報告が書かれてあった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

最初に出て来る原作名を読んでいれば、おのずと大体の展開は予想できるのだが、それにしてもこのストーリーには違和感が残る。

村岡が衝撃的な電報を読むのは、映画全体の後半も後半、残り数十分を残すのみ…という段階で、である。
それまでは、延々と、村岡と夏子との仲睦まじい日々と、北欧をいとこ役の二谷英明と共に村岡が観て回る、観光フイルムのような映像を合体させたかのような内容。

いくら、ラストの衝撃感を強めるためとはいえ、最後の展開には何ら必然性はなく、唐突以外の何ものでもない。(一応、劇中では、その急転直下な事態になった理由を説明はしているのだが…)
これでは観ている方は、「衝撃」を通り越して「呆れて」しまう…といわざるを得ない。

古臭い「お涙頂戴もの」を、当時売り出し中の裕次郎と浅丘ルリ子の若さと、裕次郎への慰労を兼ねた北欧旅行のフイルム(?)を利用して、今風に料理しよう…という考えだったのかも知れないが、さすがに、このアイデアは、結果的に陳腐にしかならかったようだ。

それでも、劇中で、若々しく、伸びやかな歌声を披露する浅丘ルリ子の姿を見れるだけでも嬉しくなる。
裕次郎映画としてではなく、彼女の映画として観れば、強い印象を残す貴重な作品であろう。