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オースティン・パワーズ:デラックス

60年代を席巻した、ショーン・コネリ−主演の初期007映画、及び、当時の007便乗映画までを、徹底的にパロってみせているオタク精神は見事!(ミニ・ミ−との戦い部分は、ちょっと時代が下って、ロジャー・ムーア主演「007/黄金銃を持つ男」のパロディだと思われるが…)

ボンドの初期宿敵の代表格、スペクタ−組織に関しての初歩的な知識がありさえすれば、笑える箇所が随所に用意されている。
逆に、この辺の知識がない観客にとっては、下ネタ部分くらいしか理解できないだろう。
言葉のギャグは、基本的に日本人には通用しにくいだろうし…。

本作が、日本で今一つパッとしないのは、初期007を知っている世代が映画を観なくなっているだけでなく、若い世代が昔の映画に興味を示さないまま、こうしたパロディものに接してしまっているからではないか。

逆に、アメリカで好評なのは、007を幅広い世代が繰り返し観ており、よく知っているからだろう。
最近のハリウッド映画に、007パロディネタが多いのも、そうした背景があっての事だと推測される。

映画に対する興味のもち方の国民性の違いが、顕著に興行成績に現れた作品の典型例といえるかも知れない。

元の時代に戻ろうとするラスト、「70、80年代なんて何もない。石油不足と『かもめのジョナサン』だけ…」という、オースティンのセリフには、妙な説得力があり、笑わせられた。