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江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間

1969年、東映京都、石井輝男監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

冒頭、いきなり、狂った女性ばかりが閉じ込められた牢内に、一人の青年が紛れ込んでおり、着物姿の女性からナイフを身体に突き立てられている…というシュールな場面から映画は始まる。

その青年、人見広介(吉田輝雄)も、その精神病院に入れられているらしい。

牢内に一人寝ていた彼は、禿頭の男から突如襲われ、反撃をしている内に逆に相手を殺害した後、何故か頭にこびり付いている記憶の風景を求めその場から脱走する。

外に出た彼は、聞き覚えのある歌を唄っていた少女に出会うが、曲馬団で働いているというその少女も、後日、人見の目の前で殺害される。

日本海側に手がかりがあるらしき事実を知った人見は、少女殺害犯との汚名を着せられたまま逃亡中の列車内で、自分そっくりの富裕な男が死亡したとの報道を載せた新聞を見る。

人見は、埋葬されたばかりのその男、菰田源三郎に成り済まし、その家に潜り込むのだった。
人見は、家人たちに正体がばれぬように、毎日をヒヤヒヤの連続で暮し続ける。
そんな中、源三郎の妻が謎の死をとげる。
家の中には、絶えず、何者かが陰で伺っている様子。

やがて、彼は、自分の記憶を確認するために、その男の父親が不思議な施設を建設しているといわれる孤島へ、怪し気な使用人、蛭川(小池朝雄)らと共に渡る事になる。

そこで彼を待っていたものは、想像を絶する情景であった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

乱歩の「パノラマ島奇談」など、いくつかの作品をミックスしたような内容になっている。

謎の島を支配する怪人菰田丈五郎を演じる土方巽 はじめ、暗黒舞踏塾の面々による異様なパフォーマンスに圧倒される。

謎解き+エログロ+前衛舞踊+和風「ドクターモローの島」といった所か。

一度観たら、一生記憶に焼きつけられるような、シュールで強烈なラストシーンも凄い。

途中で挿入される、由利徹、大泉晃、上田吉二郎、桜京美らによる、かなりベタなコミカルシーン、「吸血鬼ゴケミドロ」こと高英男の登場なども印象に残る。

今となっては、差別表現ばかりなので、広く公開される機会は少ないが、マニア必見のカルト作だと思える。

ちなみに、本作、一応、明智小五郎が登場するミステリーなのである。