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幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形

1970年、東宝、小川英+長野洋脚本、山本迪夫監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

海外旅行から帰って来た佐川和彦(中村敦夫)が、恋人、野々村夕子(小林夕岐子)の待つ山奥の館に、堺左千夫が運転するタクシーで向かっている。
連絡をしたのに、駅に迎えに来なかった彼女の事が気がかりな様子。

しかし、当の屋敷に到着してみると、出迎えたのは、耳も口も不自由な召し使い男、源蔵(高品格)だった。
何故か突然、佐川に飛びかかって来る。

それを制止したのが、この屋敷の主人、夕子の母親志津(南風洋子)であったのだが、彼女の口から、佐川は思いもかけない事実を知らされる。
何と、夕子は、数カ月前に交通事故に会い、帰らぬ人になってしまったという。

信じられない佐川。
彼は、その晩、屋敷内で不思議な泣き声のようなものを聞き、部屋の窓からは、白い衣装に身をまとった夕子が森の中に消え去るのを見る。

その後を追った佐川は、夕子の墓のある場所の側で、生きているかのような夕子に再会するのだった。
喜びの余り、思わず、その身体を抱擁する佐川。
しかし、夕子の瞳が怪しく輝いていたのに、彼は気付かなかった…。

その後、行方をくらませた兄を心配した妹の圭子(松尾嘉代)は、恋人の浩(中尾彬)と共に、夕子の屋敷を訪れるのだったが…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

岸田森演ずる日本版吸血鬼のイメージが強烈で、一部で有名な「血を吸うシリーズ」の第一弾。
しかし、岸田吸血鬼が登場するのは、ニ作目の「呪いの館・血を吸う眼」からで、本作には登場しない。

今より、一オクターブは高い若々しい声で、髪型やファッションが、どことなく「野性的な峰竜太」といった感じの中尾彬が、館の謎を解明しようと活躍する所が見どころ。

そして、何といっても、本作で印象的なのは、望まずして吸血鬼になった夕子を演ずる小林夕岐子の冷たい美貌であろう。
この頃、登場した「カラーコンタクト」をうまく利用している。
ほとんど、ノーメイクで怪人を演じる高品格の存在も貴重。

今の感覚からすると、ホラーとしてはさほどの事もないが、この当時、日本という風土に吸血鬼という素材を持ち込んだ発想は買いたい。

ただし、その吸血鬼誕生の秘密に関しては、「トンデモ発想」というしかないのだが…。

どちらかといえば、珍品として観た方が正しいのかも知れない。