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宵待草

1974年、日活、長谷川和彦脚本、神代辰巳監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

時は大正年間、谷口(高岡健二)は、女とSEXしようとすると頭痛に襲われる奇妙な体質の持ち主だった。
彼は、同じ無政府主義者仲間たちと共に、革命用の銃を調達するために、憲兵隊本部を襲撃するが、反撃にあい、あえなく逃亡の旅に出るはめに。

後日、革命家であり、活動写真の弁士をしている平田(夏八木勲)らと共に、誘拐した金持ちの令嬢は、谷口が逃亡先で知り合った女、北条寺しの(高橋洋子)であった。いつしか、3人には思想を超えた連帯感が生まれていく。

身代金受け渡しの現場で、逆襲を受けた無政府主義者達。
そんな中、谷口、平田、しのの3人は、斬り合う仲間らを見捨て、身代金と共に自動車に乗り込み逃走。
しかし、その身代金は新聞紙だった。

仲間と北条寺家の両方から追われる立場となった3人は、気球にのって東北部へ飛行。
空気が抜けて着地した地点に、偶然、汽車の窓から彼等を目撃したかつての仲間達がかけつけ、殺し合いが始まるが、結局、平田らはその場から逃げおうせる事に。

無一文になった彼等3人は、憲兵が乗ったバイクを襲い、彼等に成り済ますと、銀行に押し入り、まんまと現金強奪に成功する。

その足で、平田の実家に立ち寄るが、ちょうど実家では法事の最中。
山狩りが行われる中、平田の父親(殿山泰司)と別れた3人は、日本海側の海岸に辿り着く。

そこから、3人は満州へ渡ろうと計るのだったが…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

全編、流行歌「宵待草」や、猥歌などを飄々と口ずさむ谷口の声が画面にかぶさる。

前半部は、かなり、鬱屈した谷口ら革命家たちの日常が描かれており、画面的には退屈というしかない。
しかし、3人の男女が、革命家仲間から逃亡を開始した辺りから、画面は急激に変化し始める。

不思議な連帯感で結ばれた3人が、現実から逃亡しようとする様が、飄々とした雰囲気で描かれており、何とも独特の雰囲気が伝わってくる。

「理想と現実」「性と死」「革命と虚無感」…、様々なイメージが織り込まれているように感じる。
70年代らしい異色作。