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男はつらいよ・寅次郎恋歌

1971年、松竹、山田洋次監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

雨で客が来ない旅芝居の一座、座長(吉田義夫)が、宿へ帰る寅を新人の娘に送らせる。
宿の玄関先、しきりと「先生、先生」と持ち上げる娘に、つい見栄を張り、なけなしの金を手渡す寅。
その後、宿賃がなくなった事に気付くが、もう後の祭り。
この頃はまだ、冒頭の夢のシーンはない。

とらやに帰って来たものの、外で出会った仲間と酒に酔い、何か歌え!と強制する寅に、静かに「♪かあさんは〜夜なべをして〜」としんみり歌い出すさくら。
その歌を聞く内に、いたたまれなくなり、再び旅に出る寅。

ひろしの母親が亡くなった知らせが届き、さくらとひろしは実家へと帰る。

通夜の席で、母親は欲望がなく、幸せな一生だったなどと話し合う兄たちの会話に反論するひろし。

母親にも、女としての夢や幸せ願望があったのだけれど、学者肌の父親に嫁いだばっかりに、そういうものを全て捨て去った一生だった…というのだ。

気まずい雰囲気に、静かに席を建つ父(志村喬)。

葬式に何故か寅次郎を発見するさくら。

ひとしきりのドタバタの後、帰宅したさくらは、ひとり残されたひろしの父を案じて電話をかけてみるが、電話口に出たのは寅であった。

父親を案じて、しばらく同居してやっている…という。
実は、完全に居候状態。

ある夜、酒に酔って御機嫌の寅に、ひろしの父が「昔、ある山道の途中、一件の家から聞こえて来た、夕食を囲む一家団欒の声に、人間の本当の幸せを感じた」と、語って聞かせる。

神妙に聞き入る寅。

再び、柴又に帰って来た寅は、その言葉に感じ入り、そろそろ身を固めて、地道な生活を始めようか…などと、殊勝な事を言い出すようになる。

さらに間が悪い事には、うってつけの相手が寺のすぐそばに、喫茶店を開業していた。
それは小学生の子供を持つ、美しい婦人(池内淳子)であった。

彼女と知り合った寅は、またいつものように…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

後半の展開はやや凡庸だが、前半のおじちゃん(森川信)との絶妙の掛け合いや、名優、志村喬との絡みが印象に残る。

森川信がおじちゃん役を演ずるのは本作が最後で、とらやでの諍いのシーンの面白さなどは、森川信亡き後、生彩を欠くようになった感は否めない。

その森川信を見るだけでも、価値のある作品だと思う。