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修羅雪姫('73)

1973年度、東京映画、藤田敏八監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

雪が降りしきる中、人力車に乗ったヤクザの親分シバゲン(小松方正)の前に、番傘を持った着物姿の女が立ちふさがる。
お供のヤクザ衆を、番傘の柄から抜いた仕込み刀で切り殺す。
「お前は誰だ!刺客か?」とシバゲン親分、「修羅雪姫」と答えた女(梶芽衣子)、すばやく相手を刺殺。

シバゲンが牛耳っていた貧民窟に一人訪れた雪、松衛門という男に会うと、3人の名前を見せて、消息を尋ねる。

その3人こそ、生まれながら「怨み」を背負って成長して来た鹿島雪が捜し求める復讐相手であった。

明治6年、我が国に徴兵制度が発足すると同時に、「白装束を来た男が政府の徴兵調査官だ」という風説が巷に流れる。

ある村に赴任して来た小学校教師(大門正明)と妻と一人息子。
偶然、教師が白い洋服を着ていたために、徴兵忌避を利用して詐欺行為を働いていた一味に、いきなり襲撃され惨殺される。
妻、鹿島小夜(赤座美代子)は、男達に3日3晩陵辱された末、娼妓に売られる。

しかし、小夜は復讐心を募らせ、首謀者の一人を寝床で刺殺、その罪で女囚房に入れられる。
が、小夜は残る3人の一味への怨みを捨てきれず、手当りしだいの男の相手をして身籠る。
雪が降る中、女囚房の中、他の女囚に見守られながら、小夜は一人の女児を出産、復讐を女囚たちに託すと、難産のせいで自らは息絶える。

生まれて来た女児は、出所した元女囚、三日月お寅に連れられ、道海和尚(西村晃)に預けられ、その和尚から、徹底的した「人間復讐マシーン」としての特訓を受けて育っていく…。

母、小夜の20回忌を迎えた頃、一人前に成長した雪は、まず、一人目の目標であった竹村万蔵(中谷昇)を捜し当てるが、彼には父思いの健気な一人娘、小笛(中田喜子)がいた…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

70年代の特長である「怨み」と「復讐」が満載の映画である。
原作は「週刊プレイボーイ」誌に当時連載されていた、上村一夫&小池一夫のコミック。
眼光鋭い梶芽衣子が賭場で壷をふるシーンもあり、藤純子主演の「緋牡丹お竜」(1968〜1972)ばりの存在感を見せる。
製作年から推測するに、その後継者になる事を狙った企画ではないかと思われる。

復讐相手の一人が性悪の女である所など、設定がそっくりな「ダ−ティ・ハリ−4」(1983)を連想させたりもする。

途中から、雪を支援する新聞記者で作家の足尾龍嶺(黒沢年男)なる青年が登場、雪の生い立ちを記事にし、復讐相手の誘い出しに協力する。

クライマックスは、最後の相手との決着をつけるために、舞踏会たけなわの鹿鳴館へ、単身乗り込む雪…。

娯楽作品としては、まずまずの出来…といった所であろうか。
正直、2作目の「修羅雪姫・怨み恋歌」の方が、辛気くさい設定描写を省いた分、のびのびと見せ場、見せ場の荒唐無稽連続劇に仕上げてあり、楽しめる。

本作は、そうした魅力的な修羅雪姫の誕生編として、ファンならば見のがせないはずだ。