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進めジャガーズ・敵前上陸

1968年松竹映画、前田陽一監督。

中原弓彦(小林信彦)が脚本を書いているという事で有名な作品だが、出来はかなりお粗末というしかない。

まず、何故ジャガーズなのか?…という素朴な疑問がある。

GS(グループサウンズ)ブームの中でも、B級ランクの人気しかなく、ヒット曲も1、2曲くらいしかなかったはず。そんなレベルのタレントで一本映画を作ってしまう、当時の松竹の企画の貧困さが痛々しい。(調べてみたら、当時、松竹は、この他にも、ザ・サベ−ジとか、ザ・カーナ・ビーツ、ザ・ダーツ、ザ・シャープ・ホークス(安岡力也)、パープル・シャドウズ、そして、あの「亜麻色の髪の乙女」で有名なビレッジ・シンガーズまで、とにかくマニアックというか、マイナーというしかないようなGSグループを色々な映画に起用していた事が判明!)

バタ臭い顔をしたボーカルの岡本信(羽賀健二似?)を、アイドルのように前面に押し出そうとはしているが、いかんせん、演技に関しては素人同然。

仕方ないので、てんぷくトリオが脇を固めている。

しかし、本作の三波伸介は冴えず、逆に戸塚睦夫が良くしゃべっているのが珍しいくらい。

若き日の伊東四郎が一人張り切っているのが目立つが、笑いに関しては空振りの連続という印象しかない。

「星の王子様」ネタで売り出していた頃の、もっさりした円楽まで登場してくるので、さながら、画面上は「笑点」状態。

ストーリーは、ビートルズの「HELP!4人はアイドル」(1965)を基本的に下敷きにしており、それに「007/ゴールド・フィンガー」(1964)などの要素をミックスしているが、全体的に脈絡もテンポもなく、それに何とも言えぬ安っぽさが加わって、「お遊び映画」というには、笑いや映画パロディも学芸会レベルにしか感じられないのが寂しい。

ただ、後半、敵基地のある硫黄島での生き残り日本兵(南道郎)との遭遇シーンが、ちょっと面白い。

戦後日本の説明を、フォーク・クルセーダ−スの「帰ってきたヨッパライ」風の歌で振り返る所などは、ちょっと風刺が効いているからだ。(フォークルの北山修は、大森一樹監督の「ヒポクラテス」に出演、CTスキャンとビートルズが所属していたEMIの関係に付いて解説しています)

中村晃子や泉アキら、「懐かしのメロディ」ファンには嬉しい(?)メンバーの登場もある。
日本映画、特に松竹の喜劇路線には成功作がほとんどない…という事を再認識させられた作品。