TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

宣戦布告

これは、面白かった。

制作費7億…という事だから、物凄い大作という感じではないが、そんなにちゃちちゃちな感じもしない。(合成部分など、あらが全くない訳でもないのだが、この予算では致し方ない所かも)

原作は読んでいないので、映画だけの感想だが、諸橋総理(古谷一行)を中心とする政府内のドラマ、座礁した潜水艦が見つかり、日本に潜入したと見られる工作員たちを捜す現場のドラマ、そして、都内でマークしている北東人民共和国のスパイたちの動きを探ろうとする、内閣情報調査室の面々のドラマ、この三つのドラマが平行して描かれていく。

通常、この手のポリティカルサスペンスでは、主役に30代くらいの半官半民的な立場の男性を置き、彼の私生活(例えば、恋人との関係)などを描く事で、庶民からの視点などを織りまぜながら…というような展開が多いように思えるのだが、本作では、そういう、庶民代表のような存在はいないし、したがって、庶民からの視点は見事なくらい省かれている。(総理の秘書官である寺崎を演ずる杉本哲太が、そういう立場なのかな?…とも思ったのだが、観終わってみると、そうでもなかった)

はっきりいって、おじさん中心、プロばかりの世界である。

その辺が、観る人によっては、物足りない、ドラマ的な膨らみが足りない…と感じる所かも知れないが、個人的には、中途半端にそういう描写を入れるより、すっぱり排除した、本作の思いきり良さは成功だったように感じる。

ただ、主役が、諸橋(古谷一行)と内閣情報室長の瀬川(夏八木勲)では、ちょっと渋過ぎる…というか、地味というか…、興行的には難しいのかな〜…とも感じ、ひょっとしたら、その辺が、長らく本作がお蔵入りしていた原因なのでは?…と想像した事も確か。

個人的に、ミリタリーマニアなどではないので、素人の感想だが、ガン・エフェクトなどは、随分うまくなったものだな〜と感心した。

佐藤慶、夏木マリ、財津一郎など、全体的に渋好みの人たちばかりが登場するので、その辺が、若い世代の観客にはどう映るかは、良く分からないのだが…。