1960年、東宝、谷口千吉監督作品。
加山雄三のデビュー作でもある。
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中国戦線で、互いに狙撃の腕を競い合う仲だった、梶（三船敏郎）と菊森（池部良）。
戦後、梶は増江海運の作業班長、菊森はキャバレー「ブルームーン」の支配人をするヤクザになっていた。
増江海運の社長（志村喬）が、大学出たてである一人息子の正男（加山雄三）を現場仕事に付かせようと、梶達が作業中の船に乗り込んだ時、突然、船上で事故が起こり、作業員の一人が死亡してしまう。
その事故を起こした犯人は、ある夜、梶と作業員達によって偶然発見され、神戸方面から来たやくざが背後にいる事を知る。
一方、連夜のごとく「ブルームーン」のバンドに参加しながら、行く行くは自分のバンドを作る夢を持っている「バカ大将」正男は、神戸のヤクザ鳥実（平田昭彦）の情婦でもある春美（北あけみ）にすっかりのぼせ上がり、自分名義の株券を父親に内緒で売却しようとしたりする。
それを諌めに、春美の家を訪れた社長は、帰り道、ヤクザの運転する車に当て逃げされ、瀕死の重傷を負ってしまう。
神戸のヤクザの親分（田崎潤）からの脅しもあり、自分の意にはそわないながらも、やくざとして、増江海運乗っ取りの手助けをする菊森と、その行為に薄々気付き始め、互いに反目しあうようになる梶。
そんな二人の仲に、一人心を傷めていたのは、菊森の世話になっている口が不自由な少女、夏恵（星由里子）であった。
彼女は、秘かに心惹かれている梶に対する気持ちと、世話になっている菊森への気持ちの板挟みに悩むのであった。
頻発する事故の影響で業績不振に悩む増江海運を立て直そうと、心を入れ替えた正男は、起死回生の策として、危険で他の会社が請けたがらなかった火薬の運搬を引き受ける事を、大勢の従業員の前で発表する。
一方、ヤクザ鳥実に乱暴された夏恵は、自らの命を絶つ。
菊森は事の真相に気付き、鳥実と海の上で、一対一の決闘を申し込む。
射撃手通しの決闘…。
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東宝お馴染みの面々が活躍する男臭いアクションドラマ。
苦悩するヤクザ役、池部良と、冷酷な殺し屋を演ずる平田昭彦が、特に印象深い。
中丸忠雄や天本英世のヤクザ振り、男勝りの社長秘書役を演ずる白川由美も、なかなか板に付いている。
劇中、三船にさっそく「若旦那」などと呼ばれている加山は、文字通り、若大将のキャラクターとダブるような役柄。
海と恋と音楽…というパターンが、すでにこの時点から出来上がっている所が興味深い。
谷口監督らしい、男性ドラマの秀作である。
