TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

麻雀放浪記

1984年、角川春樹事務所&東映、和田誠監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

戦後の焼跡が残る上野で、学生服姿の坊や哲(真田広之)が浮浪者風の中年男に刃物を突き付けられ、金品を要求される。

哲は、その男を旧知の上州虎(名古屋章)であると気付き、相手も驚く。

二人はさっそく、チンチロチンをやっている博打仲間の所に出かけ、そこで、一人の男に出会う。
若きドサ健(鹿賀丈史)である。

哲はドサ健に、どことなく憧れる部分があるのに惹かれ、しばらく行動を共にするようになる。
ドサ健は、女(大竹しのぶ)の家に住み込んでいるのだった。
ある日、ドサ健に連れられて行った秘密カジノで出会ったママ(加賀まりこ)に、哲は一方的な恋心を抱くようになる。
そのママから仕込まれたイカサマテクニックを身に付けた哲は、博打で食べて行くようになって行くが、ある雀荘で、不思議な老人に出会う。
出目徳(高品格)であった…。

物語は、この後、女の家の権利書、さらに女の身売りまでを賭けた、博打打ちたちの壮絶な勝負合戦を描いて行く。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

モノクロ画面が、当時の荒んだ世相と人間たちの生き方を巧みに表現している。
脚本で協力した澤井信一郎の力も大きいと思われる。

大の映画マニアでも知られる和田監督は、あえて、奇抜な演出などは排し、じっくりとした画面作りで、この作品をまとめあげている。

もちろん、イラストレーターでもある監督の美術的センスも随所に光り、特撮を担当した、成田亨氏の力と相まって、見事な作品に仕上がっている。

上記の俳優たちの名演、人買いの達を演じる加藤健一の凛々しさなども印象に残るが、何といっても、本作の魅力を一身に背負ったのは、高品格の存在感だろう。

彼の存在が、扇の要のような役目となって、他の若き俳優たちの演技を引き立てているように感じる。

一般的に、宣伝ほど面白くない…という印象がある角川映画だが、本作は中でも、屈指の見事な名作である事は疑いない事実。

じっくり、味わうに相応しい日本映画の逸品である。