1964年、まさに全盛期の東宝作品。
▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼
主役は、フランキー堺とボンちゃん、高島忠夫。
タイトルから洒落ていて、路上に描かれた落書き風の文字をアニメの自動車(線画)が動くのをキャメラが追う形で移動しながら映していく。途中にはアニメ文字も加わって、冒頭から、楽しくうきうきした感じを表現している。
東和観光株式会社に勤める、出世願望が強くてハッスル(今や死語?)型の社員、山川(フランキー堺)と、その後輩であまり出世意欲がなく、のんびり型の中井(高島忠夫)。
社長役は益田喜頓、重役には十朱久雄(十朱幸代の父で、テレビ「丸出だめ夫」では、ボロットを作った博士役で有名)、藤村有弘(ドン・ガバチョ)、そして山川や中井の直接の上司である大森課長役は「お馴染み」有島一郎。
中井は、ひょんな事から、社長の愛人でキャバレー「シャレード」に勤める服部紅子(浜美枝)と知り合う。本作での浜美枝は、もうお色気ムンムン(これも死語)
一方、出世のために社長令嬢との結婚などを夢見る山川には、お茶漬け屋のみっちゃん(中尾ミエ-デビュー直後くらいか?)が秘かに思いを寄せていた。
そんな中、アメリカから、社長令嬢、片岡洋子(雪村いづみ-進駐軍で鍛えたのか、英語はかなり流暢)が、山川、中井の課に嘱託として赴任して来る。
▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼
以下、ストーリー自体は、良くある「恋の四角関係」を描いたラブコメものなのですが、この映画ではそんな事はどうでも良い。
とにかく、最初からラストシーンまで、全編歌って踊ってのオンパレード!
フランキーは全力で歌って踊って、とにかく「幕末太陽傅」以上の張り切り振りを見せてくれる。
ボンちゃんも、もちろん歌います。(「タクラマカン」というバラード)
歌手である、雪村いづみと中尾ミエが歌うのは当然として、何と益田喜頓も歌い踊りる!
さらに有島一郎もちょっとですが歌う。(舞台演劇出身の底力!)
バックで踊りまくる社員たちは、大半がダンサーだと思われますが、役者も混じっている。
あの二瓶正也なども踊っているのだから…。(セリフは一切なし)
セットは、「これでもか!」…といわんばかりの豪華なものが次から次へと…。(通常の2倍の制作費をかけたらしい)
後半には、何と、あの「植木等」までが飛び入り出演!
深夜の銀座の大通り(おそらくセット)で、数百人のサラリーマンが歌い踊りまくります。(汗)
監督は、仲代達矢主演の傑作「野獣死すべし」を作った須川栄三氏。
おそらく、本作が最初で最後のミュージカル演出だと思われるが、事前に本場アメリカへ勉強に行ったそうである。
音楽は黛敏郎。
とにかく、全編パワフルで、観ているこちらにも元気のエネルギーが湧いて来るくらい。
不景気の今こそ、こんな映画が必要なのに…。
「キンゴジ」コンビ、ボンちゃんと有島一郎が絡んだり、「モスラ」コンビ、フランキーとジェリー伊藤が絡むシーンも用意されていたり、「私はゼロになりたい…」などと、フランキーが「私は貝になりたい」のセルフパロディめいたセリフをいったりして、とにかくサービス満点。
和製ミュージカルの最高峰といっても、さしつかえないだろう。
隠れた傑作。
機会があれば、見のがすべからず!