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彌次喜多道中記

1938年、日活京都作品。
監督、マキノ正博。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

ある夜、大勢の追っ手から逃げ回っていた義賊、鼠小僧次郎吉(杉狂児)は逃げ込んだ料亭で、ひょっとこ面をかぶったおかしな酔客と出会う。
面をかぶったままの酔客は、こちらもほっかぶりをしたままの鼠小僧と、互いに素顔を見せあわう事のないまま、その場は別れる事に。

その酔客こそ、義母や父親との仲がうまくいかず、半分ぐれていた遠山金四郎(片岡知恵蔵)その人であった。
彼は、跡目相続で苦渋する父親の心情を思いはかり、自ら旅に出る。

おなじく、ほとぼりが冷めるまで、上方へ旅立った鼠小僧と道中ばったり。
しかし、互いに相手の正体に気付かないまま立ち寄った茶店で、先に休んでいた彌次さん(ディック・ミネ)、喜多さんコンビの笠と、自分達の笠をうっかり取り違えた事から、旅先で有名な「彌次喜多コンビ」に間違えられてしまう。

これも何かの縁と、意気投合した二人だったが、旅篭に泊まった翌朝、両名とも、女に懐の財布をすっかり盗まれていた事を発見、すっからかんの状態で途方に暮れる。

そんな時、旅芸人の一行に遭遇、二人は一計を案じ、その一行の仲間に入り、とりあえずの空腹を充たす事に成功。

何の芸もない二人は、とりあえず「馬の足」役で舞台にあがるが、失敗の連続。
しかし、地元のやくざの嫌がらせから、若い娘たちが誘拐された事を知るや、互いにそれを奪還しに行く。

別れた母親に会いたがっていた姉弟を芸人達から引き取ると、二人は芸人一行と別れ、無事上方へ到着。

半年後の江戸日本橋での再会を誓い合い、二人は別れる。

やがて時が過ぎ、金四郎は亡くなった父親の意志を継ぎ、北町奉行の職に付いていた。
約束の日本橋に先に到着した鼠小僧と姉弟は、大勢の捜査陣に正体を見破られ取り囲まれる。
そこに到着したのは、あの彌次さんこと、遠山金四郎であった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

有名な講談ネタを自由に組み合わせ、全体をミュージカル仕立てにした異色コメディ。
一見、ハチャメチャな内容のように思えるが、実は、笑わせるだけではなく、ちゃんと泣かせ所もきちんと押さえた優れた娯楽作になっている。

ラストは、意外な落ちが付く「遠山裁き」のシーンから、爽やかなエンディングへ…。
理屈抜きで楽しめる事請け合い!
「鴛鴦歌合戦」(1939)同様、志村喬も爺や役で登場する。