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タイムマシン
80万年後の世界へ

H・G・ウェルズ原作のSF古典作品。
若き天才科学者がタイムマシンを発明し、自らそれに乗って未来に行ってみると、人類は、外見は美しいが無気力な人種と、醜い姿で凶暴なモーロックという人種とに二分されていた…。
彼は、そこで一人の女性を愛したのだが…という、ロマンチックなラストシーンが印象深い佳作。
未来を想像する話は、往々にして、作者の執筆時の世相などから発想が生まれている事が多く、どうしても観念的な世界観になってしまう所があるのだが、この作品も、そうした極端な未来観が今となっては微笑ましい気もする。
何より、19世紀末の原作の時代性に合わせた、優雅なマシーンのデザイン感覚や、時間旅行に合わせて、実験室の窓から見える、向いのショーウィンドー内のマネキンが身に付けている流行ファッションが、次々に変化していくあたりの演出が洒落ていて楽しめる。
最新のVFXなどを見慣れた目には、古めかしいエフェクトやテンポだと感じるだろうが、古き良き時代の気分に浸るには、絶好の作品とも言えよう。
ファンタジー好きの女性にも、十分楽しんでもらえる内容でもある。