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スター・トレック
・ザ・モーション・ピクチャー

「スタ−・ウォーズ」の空前のヒットは、世界中の「トレッキー(スター・トレックマニア)」たちの、長年燻り続けていた願望にも、火を付ける事になった。
「スタ−・トレック」の映画化である。
TVシリーズからの制作を担当していた、ジーン・ロッデンベリ−の意気込みは、頂点に達していた物と推測される。映画会社側も、潜在的なファン層の多さを認識していたので、大ヒットは約束されているような物だった。
監督に巨匠ロバート・ワイズをかつぎだし、SFXには、当時、CM業界で革新的な仕事を連発していた、ロバート・エイブルを大抜擢。膨大な予算を掛けて、準備を始める事になる。
ロバ−ト・エイブルの野心も凄まじく、エンタ−プライズ号などを、全て、当時まだ開発途上の状態であった、3DCGで表現する実験を開始。ところが、これが、この映画のつまずきの原因となるのだ。
結局、映画制作と言う大きな仕事の経験不足だったエイブルは、具体的な結果が出せないまま、壁にぶつかる事になり、急遽、ベテラン、ダグラス・トランブルと、交替させられてしまった。
トランブルも、エイブルの中途半端な仕事を、部分的に引き継がざるを得ない部分があり、脚本のひどさと相俟って、この作品は、結果的に、世界中のトレッキーたちのみならず、一般の観客にとっても「何これ?」の、信じられないような内容になってしまう。
おそらく、ロッデンベリーも気負い過ぎて、「2001年〜」のような、高尚な作風を狙い過ぎ、訳の解らない中途半端な脚本にしてしまったのが、失敗の大きな原因だったと推測される。
それでも、当時、泣かず飛ばずの状態であったと想像される、元TVシリーズの役者たちにとっては、又とないチャンスであった事は間違いなく、この映画シリーズは、その後も延々作り続けられる事になった。
この辺の状況を知っていると、近作「ギャラクシー・クエスト」のおかしさが倍増するはずである。
女性デザイナーの手になる、だらしないパジャマのようなコスチュームを除けば、随所に、トランブルの趣味丸出しのようなSFXは見られるし、ツルッパゲにされたインド系美女も出てくるし、大作としての、それなりの見所は持っている娯楽作と、言えない事もあるまい。