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空の大怪獣ラドン

1956年、東宝、黒沼健原作、村田武雄+馬淵薫脚色、本多猪四郎監督作品。

「怪獣映画のバイブル」とか「最高峰」とかいわれている、お馴染みの「ラドン」(1956)です。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼


九州阿蘇山に隣接する某炭鉱内(北床炭鉱?)で、水が沸き出す事故が発生。
炭鉱技師の河村茂(佐原健二)らが調査に向かうと、坑夫の義三の死体が浮かんでいるのを発見。
いつも、義三と諍いが絶えなかった五郎の姿も見えない所から、彼に殺害の容疑がかけられます。
しかし、その五郎を捜していた田代巡査、すてやん、千吉らも坑内で惨殺されるのでした。
坑夫らの住居棟では、死んだ義三の妻おたみが、五郎の妹の清(白川由美)の家に押し掛けようとする騒ぎも…。
そんな彼女宅を慰めに訪れた恋人の茂は、庭先に突如出現した怪生物に度胆を抜かれます。
それは、巨大なヤゴにも似た、古代の生物、メガヌロンと判明。
さらにボタ山で追跡中殺害された、茜、加藤両巡査の傷口を調べた医者によって、これまでの犯人もメガヌロンの仕業であった事が判明します。
急遽、応援の防衛軍も出動。
しかし、いかなる銃器も歯が立たず、坑内に逃げ込んだメガヌロンと共に、茂は落盤に襲われ、姿を消してしまうのでした。
その後、地震が発生。
陥没した地域から、その茂が記憶を完全に消失した状態で発見されます。
そんな中、九州北部を中心に、超音速で飛ぶ、謎の飛行物体が現れ、広範囲で騒ぎを起こし始めるのでした…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼
とにかく、前半の社会派サスペンスのようなリアルなドラマ展開が圧巻!
炭鉱内の閉鎖された暗い空間が、行き詰まるような恐怖感を生み出しています。
途中からは一転し、青空と阿蘇を中心とした北九州全域に渡る、広大なロケーションとエキストラをフルに活用し切った、スケールの大きな絵作りと演出になり、これまた見事というしかありません。
無邪気に阿蘇山で記念写真を撮るアベックの、被写体になる女性の方が何者かを発見するシーンは、「GMK〜」でも、ちゃっかり再現されていましたね。
佐世保、西海橋を破壊した後、西方より福岡市内に侵入したラドンの動きがちょっと奇妙(大濠公園上空を通過した後、岩田屋デパートがある天神地区を飛び越え、いきなり中州に海方面から出現、その後、ユーターンしたかのように岩田屋に舞い降りる)なのも、ラドンが2匹出現しているのに気付けば説明がつくのですが、ちょっと見は分かり難いです。
ラドンは翼の羽ばたきだけではなく、口からも、煙というか風の様なものを吐き出しています。
炎上する福岡中心部のミニチュアワークの精密さに関しては、今さらいうまでもないでしょう。
怪獣が出現して以降の展開は、同じ原作者(黒沼健)の「バラン」同様、ちょっと単調な気もしないではないですが、その見応え感の濃さから、物凄い大作(金額的にはまさしくそう。「ゴジラ」の1億に対し、こちらは2億注ぎ込まれた)のイメージがある作品ながら、実は一時間20分程度の意外な短さだった事実にちょっと驚かされたりします。