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吸血鬼ゴケミドロ

1968年、松竹、高久進脚本+小林久三脚本、佐藤肇監督作品。

冒頭から、真っ赤に染まった空の中を飛ぶ航空機が異様である。
操縦席の窓ガラスに黒いカラスがぶつかる描写も強烈で、何とも言えない無気味さをかもし出しているのが凄い…と言うしかない。
やがて、その航空機は故障の為、岩山の中に不時着するのだが、ここからは、乗組員たちのエゴイスティックな人間ドラマが展開されていく。
さらに、その附近を探索していた人間が、一人一人と何者かに血を吸われて死んでいくのだった…。
SF風の設定ながら不条理劇のようでもあり、見終わった後も、長く印象が頭にへばりつくような、特異なドラマになっている。
劇中登場する、空飛ぶ円盤や人間の額の割れ目から脳内に侵入するゲル状の宇宙生物の描写など、特撮シーンも当時としては信じられないほどの完成度で、とても、松竹作品とは思えない高いレベルの作品になっている。
密室状況サスペンス物の傑作だと思える。
特撮物としては珍しい松竹作品であるがゆえに、あまり広く知られているとは言えないが、特撮ファン、SFファン、サスペンスファン必見の異色作である事は間違いない。


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