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三大怪獣 地球最大の決戦

「ゴジラ」「ゴジラの逆襲」「キングコング対ゴジラ」「モスラ対ゴジラ」に次ぐ、怪獣大作。
若林映子扮する、謎の女性(金星人と名乗っている)の予言に従い、ラドンやゴジラが次々と出現し、(ゴジラの登場シーンは、シリーズ屈指の出来)、やがて、黒部渓谷に落下した隕石から、金星の文明をも滅ぼしたと言う、シリーズ最強の宇宙怪獣キングギドラが出現し、圧倒的な力で日本各地を破壊し尽くしていく。
さぁ、地球は大ピンチ!
最後にはモスラも交えての大乱戦に…という、従来以上にスケールアップされた怪獣プロレス映画になっている。
キングギドラの破壊シーンは絶品の迫力!
未だに、最強のイメージが強いキングギドラの登場が印象強い作品だが、逆に言えば、それまで、一貫して「悪役」のイメージで売っていたゴジラが「地球や人類を守る」、言わば「正義の味方」にイメージを転換してしまった作品だった事になる。
人類への脅威であリ続ける事で、保ち得ていたゴジラのアイデンティティー(作品のテーマ性も含め)を、そっくり、ライバルであるキングギドラに明け渡してしまった事により、確実にゴジラはこの作品で、「何か」を失ってしまったように思えてならない。
時代の要請だったとも言えるだろうが、怪獣同士が会話をかわす…などと言った、擬人化、漫画化も、この作品から顕著になっており(「キングコング対ゴジラ」にも、やや片鱗はうかがえるが…)、空前の怪獣ブームの一躍を担いながら、一方で、確実に「お子様映画」、さらに言えば、その後「悪役」へと、さらなるイメージチェンジを試みながらも、何故か、主役の存在感やテーマ性を喪失したかに思えるゴジラ映画への、分岐点にあたる重要な作品だったように思える。