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ヤマトタケル

1994年、東宝映画、三村渉脚本、大河原孝夫監督作品。

平成ゴジラシリーズが一応の成績を上げ出した時期、新しいジャンルを開拓しようと、メディアミックス戦略で、大々的に展開したものの結局不発に終わってしまった作品。
主題歌はYOSHIKIプロデュースで、何とGLAYが歌っていた!
「古事記」を題材に、ヤマトタケルの英雄伝説を大胆にアレンジし、RPG感覚の冒険活劇にしようと試みられている。
特撮部分は、従来の着ぐるみ怪獣をはじめ、新しいデジタル技術なども積極的に導入し、最後には巨大なロボットのような物まで出てくるのだが、取り立てて斬新な印象を受けるほどではなかった。
さらに、ドラマ部分の冗漫さが目立ち、それなりに豪華な出演陣が参加していたものの、軽やかなファンタジーとは正反対の、重く大仰な芝居に終止していたのが惜しまれる。
ヒロインを演じた沢口靖子など、明らかにミスキャストで、アクションなど到底出来そうもないのに、無理に演じさせられていたように感じる。
平成ゴジラシリーズ全般に共通する弱点と言える、脚本のお粗末さが目立った凡作と言うしかない。
心を打つようなドラマ展開や、感情移入できる登場人物が一人もいない…と言うのが、この作品の致命的な部分と思える。
特撮好きには、話の種として、一見の価値はあるかも知れないが…。