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わんわん忠臣蔵

1963年度、東映動画作品。
原案、構成、手塚治虫。
2001年6月「宮崎駿 漫画映画の系譜」と名付けられた上映会の、冒頭を飾った作品。
宮崎駿の、初参加劇場作品らしい。
タイトルの通り、「忠臣蔵」をベースにした動物ファンタジーで、虎のキラー(声、西村晃)に母シロを殺された子犬のロックが、町で知り合った犬仲間と共に訓練を重ね、後半、動物園に入ったキラーに仇討ちをする…というお話。
タイトルバックで、グラフィカルな犬のシルエットが行進し、それに楽しい歌がかぶさる演出は、後年の「となりのトトロ」のタイトルを連想させる。
前半の山で登場する動物たちは、個性に乏しく、何やらディズニーを意識したような凡庸な造形だが、町の犬たちは、まさに個性的で、一度観たら忘れられない名キャラクター揃いである。
特に、海野かつをが声を担当している、目が髪(耳?)で隠れている子犬は、強烈なインパクトがあり、何十年も脳裏に刻み込まれるキャラクターとなっている。
話自体はやや単調で、今の感覚からすると、めちゃめちゃ面白い…という程でもないが、前半、山での雪夜の幻想シーンや、後半の同じく雪の遊園地内でのアクションシーンは秀逸である。
討ち入り(?)の雪の日、犬達が遠ぼえで仲間を呼び集めるシーンは、ディズニーの「101匹わんちゃん 大行進」を意識した作りか?
最近は衰退した「動物ファンタジー」の佳品として、アニメファンにはお薦めしたい作品。