TOP

映画評index

サイドバー

わんぱく王子の大蛇退治

東映動画の初期は、素材的に東洋的な物を意図的に選んだり試行錯誤を繰り返していたが、1963年の本作と「わんわん忠臣蔵」で一つのピークを迎えたと言って良いだろう。
大胆にデフォルメされたキャラクターの造型も面白いが、全体的に生き生きとした動きと、軽やかなストーリー展開がマッチし、絶妙の娯楽作品になっている。
お話は、お馴染みのスサノオノミコトの物語を中心に据え、国生み神話から始め、場面転換やキャラクターの感情表現も変化に富ませており、奔放な少年の幻想冒険譚と言うだけではなく、見事な成長物語にまでに仕上げている手腕は見事と言うしかない。
特に有名な八岐大蛇との戦いは、スピード感に溢れ、伊福部昭の重厚な音楽とも相俟って、映画ならではの興奮と快感を呼び覚ます。
大蛇を倒した後の処理は、まさにアニメならではの美しさと感動に溢れ、この作品を一流の傑作に仕上げている…と思える。
東映動画が世界に誇り得る、初期のまごう事なき名作中の名作である。