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宇宙大戦争

1959年、東宝、丘見丈二郎原作、関沢新一脚本、本多猪四郎監督作品。

世界のあちこちで、異常な事件が起きる。
山間の鉄橋や、海を進む船が空に引き上げられたりしたのだ。
国際会議場で、一人の科学者が女性を小脇に抱えて、見る見る空に浮かぶ円盤に引き上げられていくシーンは、観る者に強烈な印象を残す。
それらの事件が、ナタール人の地球征服計画と分かった人類は、一致協力して、月にある彼らの基地をせん滅するためロケットを飛ばすのだった…。
前半は、宇宙人による天変地異のスペクタクル、後半は宇宙での、円盤とロケットとの光線合戦や、月面での探検車移動などの見せ場がめじろ押しになっている。
これが、「スター・ウォ−ズ」の20年近く前に、我が国で作られていたと、言う事実だけでも驚嘆に値するだろう。
ナタール人の冷凍光線で、地球の町並みが空中に吸い上げられる圧巻のスペクタクルは、後年のキングギドラによる、反重力光線の迫力ある弾着シーンの先駆となるものであろう。
ゴジラの成功に甘んじる事なく、意欲的に新しいテーマに挑んでいた時代の、東宝特撮の底力を見せつけられる、大作映画である。