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東京湾炎上

1975年、「日本沈没」や「ノストラダムスの大予言」の後作られた、東宝特撮サスペンス。
石油を満載して日本に帰る途中の巨大タンカー「アラビアン・ライト」号は、漂流民に偽装したゲリラ(武装テロリスト?)数人を救助したばかりに、船をシージャックされてしまう。
彼らは、日本政府に対し、鹿児島にある石油備蓄基地の破壊を要求する。
要求に従わない場合は、爆雷をしかけた「アラビアン・ライト」号を東京湾に侵入させ、そこで爆破するという。
その証拠として、別の場所に停泊していた一隻のタンカーが爆破されるに及び、日本政府は、犯人たちの要求を飲む…と見せ掛け、その実、大掛かりなトリックを仕掛ける準備を始めるのだった。
一方、囚われの身になっているタンカーの乗組員たちも、じりじりと形勢逆転のチャンスをうかがっていた。
タンカー内、政府対応部署、マスコミ…と、一応、大作らしいスケール感を狙った構成にはなっています。
タンカーの乗組員としても、船長の丹波哲郎をはじめ、藤岡弘や宍戸錠、内田良平ら、一癖も二癖もありそうなメンバーが顔をそろえていますし…。
一見、「沈黙の戦艦」みたいな展開になりそうなのですが、元特殊部隊出身のスーパーヒーローのような人物はいませんし、タンカー上では、無闇に銃器をぶっぱなしたり出来ない設定なので、動きの少ない心理戦のような様相を呈していきます。
藤岡弘は主役らしいポジションなのですが、最近のTVCMとは違い、この作品内では、日本に残してきた女の事ばかりを考えている男として描かれています。
主題歌もベタな歌謡曲ですし、この辺の処理が、この作品にサスペンスというより、古めかしい通俗さを加えてしまっているような感じがします。