TOP

映画評index

サイドバー

転校生

1982年、日本テレビ+ATG、山中恒原作、剣持亘脚本、大林宣彦監督作品。

山中恒の原作を、大林監督が自らの故郷尾道を舞台に撮りあげた、爽やかな青春ファンタジー。
この後に続く「時をかける少女」「さびしんぼう」と合わせて、「尾道三部作」と呼ぶ。
その全てが傑作と思える、稀有な作品群の第一作。
ガキ大将のクラスに、幼馴染みだった女の子が転向してくる所から物語が始まる。
二人が、高台にある神社の階段からもつれあって転げ落ちる事がきっかけで、互いの心が入れ代わってしまう…。
単純な発想がうまく利用されていて、子供から大人に移行する不安定な時期の男女の心が、ユーモアとペーソスを取り混ぜて面白く描かれている。
女の子の心を持った尾美よしのりの方は、ちょっと「おかまっぽくて」情けないが、男の子の心を持った小林聡美の方は、のびのびとした素晴らしい演技を見せる。
両親役の宍戸錠と樹木希林も、存在感のある演技で作品を支えている。
8ミリ映画少年だった大林監督の趣味性も、効果的に使われており、甘酸っぱい青春を経験した人にはたまらない作品となっている。
日本映画が誇れる傑作ファンタジーの一本。