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帝都物語

1988年、エクゼ、荒俣宏原作、林海象脚本、実相寺昭雄監督作品。

荒俣宏の人気伝奇小説を原作とした大作映画。
陰陽道を操る無気味な魔人、加藤保憲の帝都破壊計画に挑む、超能力者たちの活躍を描く奇想天外な物語を、特撮物が特異な実相時昭雄監督が映像化した作品で、豪華な配役や、予算をかけた大掛かりな屋外セットなどが話題を呼びヒットした。
日本お得意のミニチュアによる、明治の家並みの再現や、当時盛んになり始めた特殊メイクの技術など、進級織りまぜた特殊技術のオンパレードと共に、勝新太郎や坂東玉三郎など異色の俳優陣が、明治の実在の有名人に扮したドラマも幻想的に撮られ、物語の奥行きを出すのに成功している。
特に、日本最初のロボット「学天則」を作った西村博士に、実子の西村晃が扮し大いに注目されたりもした。
また、劇中に登場する護宝童子のデザインを「エイリアン」のH・R・ギーガーがデザインしたり、当時の銀座の町並みを実物大で再現したり…と、製作を手掛けた一瀬隆重の活躍によって、話題作りには事欠かなかったのも、成功に拍車をかけた要因だったと言えよう。
本作で、加藤役を射止めた特異な風貌の新人、嶋田久作の強烈な印象は今でも語り草になっているほどである。
清楚なヒロイン役を演じた原田美枝子の好演も見事。
関東大震災で崩壊する12階の建物など、全編見所満載の快作。