1957年東京映画作品。
有馬頼義原作、杉江敏男監督。
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クリスマスの季節らしく、ジングルベルを歌いながら歩く酔っ払いが、どこかから聞こえてきた銃声をクラッカーの音と聞き間違え、「メリークリスマス!」と叫ぶ場面から物語は始まる。
信用金庫が襲われ、現金300万円が奪われる事件が発生。
捜査一課は早速動き出すが、捜査員の一人、渡辺(小泉博)の姿がない。
渡辺の妻、ヒロ子(若山セツ子)の父親でもある上司の山上(志村喬)は、渡辺が愛人と共に姿をくらまし、警察には辞表を出している事を知らされる。
その渡辺、愛人の服飾デザイナー、柳沢美津子(淡路恵子)と共に、京橋から草津に向かうスキー客中心の夜行バスに乗っていたのだが、美津子との関係をまだきちんと整理しきれていない様子。
一方、強奪犯人の逃走経路を洗っていた捜査員たちは、犯人が夜行バスに乗った可能性に気付き、渡辺もそのバスに同乗している可能性を考えた山上は、途中の休憩地点で渡辺に連絡をとる。
山上からの一方的な伝言に、最初は戸惑いながらも、連絡員から拳銃を渡された渡辺は、やがてバスの中で刑事としての本能を働かせ始める。
はたして、三十六人の乗客の中に犯人はいるのか?
何人かの怪し気な人物たちと、その行動が次々と疑念を生んでいく。
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いわゆる「乗り物サスペンス」ものであるが、脚本、演出とも巧みで、観ていて最後まで飽きさせない。
渡辺と愛人美津子との関係、若い運転手(堺左千夫)と交代要員の老運転手との関係など、犯人捜し以外の人間ドラマも過不足なく配され、黄金時代の邦画の底力を見せつけられる思いがする。
うら若きチャーミングなバスガイド役は、扇千景国土交通省大臣。
千秋実、塩沢とき、多々良純、中谷一郎、佐藤允ら懐かしい面々が、それぞれ個性的な乗客としてドラマを膨らませている。
隠れた名作だと思う。