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お役者文七捕物暦 蜘蛛屋敷

1959年東映映画、横溝正史原作です。

脚本は、片岡千恵蔵版金田一ものなどと同じ、比佐芳武。
監督は沢島正。

文七には中村(萬屋)錦之助が扮しています。
これがシリーズ第1作らしいので、他にも何本かシリーズ作品があるのかも知れませんが、詳細は不明。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

亨保元年、奥州勝田藩で「土蜘蛛の乱」が勃発、首謀者の長瀬大膳を始めとして、謀反者全員が処刑されます。

しかし、藩主もその後亡くなり、「土蜘蛛の祟り」ではないかと噂されます。
そして、勝田藩の江戸屋敷はいつしか「蜘蛛屋敷」と呼ばれるようになっていました。

そんな、勝田藩の屋敷内に歌舞伎の「土蜘蛛の精」の扮装をした怪人が出現、中間や腰元が失踪する事件が起こります。

腰元を誘拐した黒覆面の一団が屋敷から逃げ帰る所に、偶然通り掛かってちょっかいを出したのが、役者播磨屋の次男なのに、芝居嫌いなばかりにグレて遊び人になった文七(錦之助)。

これをきっかけに、文七の父親、歌六が千秋楽の舞台裏で何者かに襲われたり、兄、歌昇が、勝田藩長女、照姫殺害の容疑者にさせられたり、不可解な事件が連続します。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

…といっても、そこは東映時代劇、出演者の顔ぶれを見れば、悪者は一目瞭然。
特に「推理もの」としての面白みはありませんし、歌舞伎のシーンが入ったりするため、全体的にテンポものんびりしており、サスペンスも稀薄ですね。

第一、一介の町人に過ぎない文七に、お家騒動の内幕など複雑な謎解きまでできるはずもなく、事件の黒幕を前に最後に「絵解き」をするのは、何と大岡越前(片岡千恵蔵)です。(汗)

まぁ、若い錦ちゃんは、基本的に「一心太助」などと同様、大岡越前を慕う向こうっ気の強い元気な町人として、事件の「狂言回し」に近い役といった所。
後半、役者意識に目覚めた文七が、別人に変装して証拠集めに出歩く…といった辺りが、ちょっと「見せ場」でしょうか。(ひょっとしたら、これがその後のシリーズの見せ場になるのかも知れません。錦ちゃん版「七つの顔を持つ男」ですね)

大岡越前の配下、池田大助役で中村賀津雄なども出演しています。