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男はつらいよ 寅次郎と殿様

1977年度、シリーズ19作目。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

冒頭の夢は、御存じ「鞍馬天狗」に寅さんが扮して、京の橋の上で大立ち回り…。
これはもちろん、本作のゲストがアラカン事、嵐寛寿郎であるため。

ひろしが満男のために買ってやった大きな鯉のぼりと、お寺の境内で、誰いうとなく「トラ」と名付けられ、仕方なく車屋で飼う事になった一匹の野良犬が、最初の寅と家族とのけんかのきっかけになる。

四国、伊予に着いた寅は、旅館で一人の寂し気な女性(真野響子)に巡り会う。
いつものおせっかいから、女性に夕食をおごってやったため、翌日にはサイフの中身が500円札と小銭だけになってしまう。

その500円札が風に飛ばされ、それを拾ったのが不思議な雰囲気の老人(アラカン)。
ラムネやアンパンを、拾ってくれた礼にとふるまった寅に、返礼の為、家に来いと誘う老人。
その老人こそ、大須城18代目のお殿様だったのである。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼


執事役の三木のり平と寅さんとの掛け合いが楽しく、客の寅をしつこく帰そうとするのり平に怒ったアラカンの殿様が、いきなり刀を振り上げ、それを羽交い締めにした寅が、思わず「殿中でござる!」という「忠臣蔵」ごっこは笑える。

殿様から、東京にいるという、亡くなった次男の嫁を知らないか…と尋ねられた寅が、無責任に捜してやると安請け合いした所から、後半のドタバタが始まる。

その、あまりにも「出来すぎた偶然」が、逆に笑えてしまうから不思議だ。

寂しい老後を過ごす世間知らずの老人を演じる、晩年のアラカンの存在感と、のり平の演技だけでも、観ていて楽しい作品だと思える。

嫌な長男役でゲスト出演をしている、東宝の平田昭彦のハマリっぷりにも注目したい。