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日本のいちばん長い日

1967年、東宝、 大宅壮一原作、橋本忍脚色、岡本喜八監督作品。

「日本人には二度とこんなみじめな日を迎える事のないような国を作って欲しい」(自決直前の阿南陸相-三船敏郎)

原作は大宅壮一、監督は岡本喜八。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

1945年7月26日、連合国から無条件降伏を勧告する「ポツダム宣言」を受け取った東郷外相(宮口精二)。
しかしながら日本政府は、いつもながらのあいまいな態度でその返事を渋っているうちに、海外からは「宣言黙殺」と解釈され、広島と長崎に原爆を投下されます。

それでも、断固、本土決戦を主張する阿南陸軍大将を始め、閣内の意見は一向にまとまらず、結局8月13日深夜、御前会議で天皇の判断を仰ぐ事になります。
そしてここ(14日午前0時)から「日本のいちばん長い日」は始まるのです。

敗戦を国民に伝える「玉音録音」が決定されますが、まずその文言作りから、阿南陸相と米内海相(山村聡)らの意見が噛み合わず、遅々として進行しません。
海外への回答時間を焦る、松本外務次官(戸浦六宏)や迫水書記官長(加藤武)ら役人の面々。
日本放送協会の職員ら(加東大介)の手によって、宮中で実際に録音が開始されたのは14日深夜。
その録音レコードは、徳川侍従(小林桂樹)の手によって宮中に保管されます。

しかし、無条件降伏受諾の噂に揺れ動く、陸軍の若き将校達。

「全員自決」で最後の花を飾ろうと醒めた考えをしている井田中佐(高橋悦史)に、降伏阻止の決起協力を迫る畑中少佐(黒沢年男)や椎崎中佐(中丸忠雄)ら強行派。

協力を断わり、断固、決起に承知しない森近衛師団長(島田正吾)を斬殺した彼らは、架空の命令書を作成、近衛第二軍司令官、芳賀大佐(藤田進)を動かして皇居を占拠するのでした。

しかし、東部軍はその動きを察知、反乱阻止に動き出します。

一方その頃横浜では、内閣要人暗殺を遂行せんと、警備隊長、佐々木大尉(天本英世)が、学生ら民間人からも同志を募り(学生の一人はウルトラ警備隊のソガ)、東京へ向かいます。

厚木基地では、降伏受諾の噂を伝える菅原中佐(平田昭彦)を無視し、あくまで戦いつづける決意を固める小園大佐(田崎潤)。
いつものように房総沖に迫る敵船団に、埼玉の児玉基地から攻撃隊を飛ばせる野中大佐(伊藤雄之助)。

「玉音レコード」を懸命に捜し出そうとする決起組の兵隊達。

首相官邸を襲撃したものの、鈴木首相(笠智衆)不在を知り、首相自宅に押し掛け火を放つ佐々木大尉グループ。

師団長殺害が伝わり、しかもレコードが見つからないため窮地に陥った畑中らは、日本放送協会へ押し掛け、自分達の意見を国民に放送するよう、局員(加山雄三)の頭に銃を突きつけ迫ります。拒否する加山…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

2時間半にも及ぶ長尺ですが、モノクロのドキュメンタリータッチで全編に漲る緊張感。
セリフのある女性役は、首相宅にワンカット登場する新珠三千代だけ…というほどの男ばかりのドラマ。

全員、洋服や軍服を夏の汗に濡らした姿で熱演しています。
ひたすら圧倒される内容、この作品に「ちゃちさ」など、どこにもありません。
皇居、市谷駐屯地、首相官邸など、本物(?)としか思えない所で芝居をしているのにも驚かされます。