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日本沈没

1973年度東宝&東宝映像作品。

冒頭、何億年も前の地球の姿が出てきます。
一つの大陸がいくつかに分裂し、やがて、そのうちの一つの大陸から、あたかも龍が生まれるように、分離形成された部分が日本になっていくシーンがまず素晴らしい。
続いて、青森のねぶた祭りをはじめ、繁栄をむさぼっていた、当時の日本各地の様子が映し出されていきます。
長嶋の現役時代の姿まで挿入されている…(30年も前ですものね〜)
前半は、御存じの通り、深海調査船「わだつみ」に乗り込んだ小野寺(藤岡弘)、田所博士(小林桂樹)らが、日本海溝で異変を察知し、日本列島に待ち構えている天変地異を予感する訳ですが、今回観直して改めて驚いたのは、山本首相(丹波哲郎)が、比較的早くから登場しており、彼が誰よりも先にこの予兆に敏感に反応している点です。
おそらく、閣僚の中で一番若い人物(当時、丹波さん、40代くらいか?「Gメン75」よりも前!)ではないかと思います。(この辺が、現実の政界とはかなりかけ離れた設定なのですが、そうでなくては「D-1計画」や「D-2計画」といった思いきった対策は成り立たないでしょう)
やがて、東京大震災が起きるのですが、ここの特撮は今観ても感心させられます。
特に、崩れ落ちる家並みの中を逃げまどう群集を描いた本編がらみのパニックシーンは凄いの一言!
皇居に押し寄せる群集をヘリからの見た目で表現した部分は、まるで黒澤作品のよう…。
その様子を本部に報告するヘリのパイロットは、何とチイチイ(地井武男…若い!)
残念ながら、こうした民衆のパニックシーンと、小野寺や山本首相ら主要メンバーの行動が、絵的にうまく連動していないように見えてしまうため、今一つハラハラドキドキが生まれてこないんです。
まぁ、原作自体がポリティカルフィクションに近い描き方でしたから、映画はかなりそれに忠実に撮っていた…といえばいえるでしょうが…。
後半は、この東京大震災以上の特撮スペクタクルはありません。
富士山爆発…くらいですか。
日本列島が分解し始める辺りになると、もう航空写真みたいな引いた絵が多くなって、ちょっと物足らない感じはします。
結局、途中から(テレビ局内で狂態を演じて見せた後)田所博士は姿をくらませ、渡老人(島田正吾)と丹波さんがメインとなり、話が進行していくような感じになります。
阿部玲子(いしだあゆみ)が画面に登場するだけで不幸な出来事が始まりそうな感じがするので、これは意外と適役だったのかも…。
まだ髪が黒かった二谷英明や、ちょっと見は「コント赤信号」のナベちゃん?…と勘違いしてしまいそうな中丸忠雄、元気に肥えていた時代の小松左京さんの登場がうれしくなります。
「わだつみ」に乗っていた頃の小野寺の相棒、結城役の夏八木勲さんもいい!
当然、この時代、デジタル表現は一切ありません。
動く解説図などにしても、全部「セルアニメ」。
竹内均さんが真面目に「マントル対流」などの科学的解説をするところなど、後年の「ジュラシック・パーク」のアニメによるDNA解説を連想させます。
退屈さも含め、堂々の大作らしい大作でしょう。


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