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渚にて

核戦争が起こり、北半球の大半が放射能で汚染されてしまった中、一隻だけ偶然難を免れていた潜水艦とその乗組員たちが、オーストラリアから北の故郷へ向かう…と言う破滅SF。
ハッキリ言って地味な話なのだが、核の恐ろしさを表現したシュミレーションとしては、逆にリアルな描き方になっている。
潜水艦の中で、何とか北で生き残っている人間がいないか、懸命に電波を捜している中、モールス信号のような物を捕らえ、一瞬、乗組員たちの間に希望が芽生えるが、それが、コカコーラの瓶とカーテンか何かによる、偶然のいたずらだった…と分かった時の無情感は筆舌に尽くしがたい。
いわゆる、大掛かりなSFX映画ではないが、人の姿が全く消え失せた都会の描写など、背筋が冷たくなるような印象的なシーンがある。
冷戦時代の市民の恐怖感を見事に表現した秀作だと思う。