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映画評index

 

モスラ

1961年、東宝、中村真一郎+福永武彦+堀田善衛原作、関沢新一脚本、本多猪四郎監督作品。

ゴジラなども、後年のシリーズ作品しか知らない人が、初代の作品を観ると、認識を一変してしまうように、モスラも、この初代作品を観ないと話にならない。
中村真一郎、福永武彦、堀田善衛と言った、そうそうたる文学者たちが原作を書いている。
怪獣映画初のカラー、ワイド画面作品。
水爆実験にさらされたインファント島に調査に出かけた一行は、そこで、双子の小さな女性を見つける。
ロリシカ共和国のネルソン(ジェリー伊藤)は、その「小美人」を捕まえて見せ物にせんと、日本に連れ帰ってしまう。
やがて、その「小美人」を追って、巨大な幼虫が海を渡って、日本に上陸する事になる…。
ザ・ピーナッツ演ずる「小美人」の唄う「モスラの歌」や、作り物感が強いモスラの造型の印象が強いこともあって、何となく、女性的なファンタジー映画のイメージがするが、破壊スペクタクルとしても、出色の出来である。
平成時代にリメイクされた人形のようなモスラとは全く異なり、作り物自体がかなり大きく作られているため、画面全体に迫力が溢れ、観る者を圧倒するような見せ場が連続する。
モスラがダムを欠壊させるシーン、渋谷道玄坂から東急デパートをまっぷたつに突っ切って進むシーン、東京タワーに繭を作るシーン、それに、人間側が熱線砲を浴びせるシーン、後半、ニューヨークの摩天楼を連想させるビル群への攻撃シーンなど、枚挙の暇がないくらいのサービス振りである。
平和を願うメッセージ性と、スペクタクルシーン満載の娯楽性が見事に合致した傑作である。