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帝都大戦

「帝都物語」の続編にあたる1989年作品。
前作でプロデューサーだった一瀬隆重が監督を担当している。
キャスティングや見せ場の多様さが魅力だった前作とは異なり、本作では、魔人、加藤保憲(嶋田久作!)のみに、焦点が当てられた作りになっている。
時代は、第二次世界大戦末期。
冒頭、堆く積まれた死体の山から、出現する加藤の姿が印象的である。
しかし、いざお話が始まると、内容的にさほど興味深い展開もなく、ハリウッドから招いた、スクリーミング・マッド・ジョージ氏の特殊メイクの成果を、何箇所かに発見するくらいしか見所はない。
やはり、時代設定自体が暗い世相の最中だけに、全体的に画面作りが重く、「呪術合戦」という「非現実性」と時代性とのコントラストが、今一つ、生かされていなかったように感じる。
クライマックスで繰り広げられる、日劇前での憲兵隊と加藤との戦いにしても、香港からワイヤーワークのスタッフを招聘して協力を仰いだ割には、迫力不足の感じもしないでもない。
予算の少なさ、監督の経験不足、脚本の魅力のなさなどが相俟って、前作には遠く及ばない出来といわざるを得ない。
加藤(嶋田久作)ファンには、それなりに満足のいく内容だったかも知れないが…。