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タオの月

低予算であるにもかかわらず、あろう事か、特撮伝奇時代活劇を目指した無謀な作品…と言わざるを得ない。
はっきり言えば、素人さんたちが、どこかの裏山で撮った「時代劇ごっこ」のような出来上がりで、「マカラガ」という宇宙怪獣が登場するのが、唯一、特撮マニアの興味をひくくらいか?(ただし、怪獣らしい破壊シーンなどは一切ない)
限られた予算の中で、何人かの有名俳優を起用したためか、雨宮監督独自の凝ったスーツやギミック類は影をひそめ、安い芝居が続くだけのみじめな結果となっている。
素人出演者が多いため、きちんとした殺陣も出来ておらず、とても時代劇のレベルにさえなっていない上に、単調な話にも魅力がなく、上映時間の長さだけが気になるような作品になっている。
特に、悪役たる榎木孝明の人物造形が薄っぺらで、主役、永島敏行との戦いも、全く盛り上がらないのが致命的と思える。
雨宮作品唯一の見所ともいうべき特撮シーンにも、特に目新しいひらめきは感じられず、どこかで見たようなシーンを模倣しているだけのような場面ばかりなのもいただけない。
基本的に、雨宮作品は「雨宮美術フリーク」とでもいうべき、一部のマニアだけに支えられているもので、普通の特撮ファンや映画ファンが観て、納得出来る作品は少ない…と言わざるを得ない。
中でも本作は、そのマニア色自体が薄くなっているだけに、見ごたえを著しく欠く結果になっているものと思われる。
Z級作品マニアには、お薦めかも…?