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白雪姫

我が国では、テーマパークの人気に比較して、今一つ映画の方の人気は低いディズニーだが、初期の長編アニメ数作は、好みはともかく、映画史に残る労作である事は間違いなく、アニメファンであれば、見逃してはならない作品だと思う。
特に、本作と、それに続く「ピノキオ」あたりは、デジタル技術が普及した今日から見ても、驚嘆すべき技術が多数盛り込まれており、その成果を見るだけでも十分に価値はある。
ミッキーマウスをはじめとする、キャラクターアニメや、「シリー・シンフォニー」シリーズなどの短編アニメでは、実績を積んでいたディズニーであったが、その野心は「長編アニメ」に及ぶ。
この作品に注ぎ込んだ、ウォルトの熱意とアイデアは並み大抵のものではなく、その製作段階での様々な試行錯誤のエピソードは、語るに事欠かない程であるようだ。
元々、長編アニメは採算が取れない…とされていた分野で、本作の完成を危ぶむ声も当時からあったようだが、製作途中の試写を観た銀行関係者が、ためらう事なく融資を決断した…とされる程、その内容は、カットの一つ一つにまで、魅力とパワーを秘めていた。
七人の小人の可愛らしさや、王女の不気味さの魅力に比べ、肝心の白雪姫と王子様のキャラクターが、実写臭く、今一つ説得力に欠ける恨みはあるものの、全体としてオーソドックスな完成度を持った作品になっている。
今に至るディズニーアニメの特長が、良い面も悪い面も含め、最初の長編である本作に、全て詰まっているとも思える所が大変興味深い。