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サボテン・ブラザース

悪い賊達にいつも略奪されている村人が、腕利きの用心棒を捜して来て賊と戦わせる…とくれば、もちろん「七人の侍」である。
映画のヒーロー(実は、生活に困っているB級役者)が、本物のヒーローと間違われて、実戦の直中に連れて来られる…とくれば、「ギャラクシー・クエスト」である。
何と本作は、この両傑作を結び付ける位置にあるコメディなのだ。
そして、これまた傑作!…というしかない出来なのがすごい。
映画「サボテン」シリーズで有名な3バカ俳優たちは、実際は映画会社にこき使われている、しがないB級役者でしかなく、ひょんな事から会社を首になってしまう。
そんな彼らの元に、ギャラを払うから来て欲しいという電報が届く。
間抜けな彼らは、新しい映画の話だと思い込み、一路メキシコの寒村へ旅立つ。
しかし、そんな彼らを待ち受けていたのは、本物の「助っ人仕事」だったのだ!
ストーリーラインは完全に「荒野の七人」(つまり原点は「七人の侍」)の完全なパロディになっている。
3バカ大将たちは途中まで現実が見えず、バカ芸まっしぐらで観客の笑いを誘うのだが、現実に目覚めてからは、尻尾を巻いて逃げ出してしまう…。
ここまでは、大体の予想がつく展開なのだが、この後、3バカは実際のヒーローになろうと立ち上がる事になる!
とはいっても、しょせんは「バカ」(笑)
バカ特有の「アホアホ行動」で、後半は一気に劇中の賊と、観ている観客両方をヘナヘナ状態にしてしまうのだった…。
劇中、彼らを映画役者として「マニア的に熟知しているオタク」まで登場するのだが、こうなると、完全に「ギャラクシー・クエスト」は、この作品をSFとしてリメイクした…としか思えないほどそっくりである。
つまり、「ギャラクシー・クエスト」の遠い原点は、実は「七人の侍」であった!…といってもおかしくない事になる。
海外のコメディは、言葉の壁がネックとなり、その面白さのほとんどが伝わり難い…といううらみがあるが、この作品では、世界共通の笑いの原点である所の「バカ」が描かれているため、その行動を観ているだけでも十分に笑える。
本作単独でも十分に面白いが、「七人の侍」「荒野の七人」「ギャラクシー・クエスト」を観ていれば、さらに興味が倍増する事請け合いである。