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ピストルオペラ

「殺しの烙印」(1967)の続編…という基本的な設定はあるが、死とユーモアとエロスを混在させた軽妙なサスペンスアクションだった前作とは異なり、「ツィゴイネルワイゼン」(1980)以降にお馴染みとなった、観念的な美術映画になっている。
殺し屋のギルドに所属するNo.3の腕利き、「野良猫」が、No.1の百目を倒そうとする、ストーリーの構造自体は前作を踏襲しているものの、断片的なイメージのコラージュが繋がっていて、話を追うよりも、独特の美術世界を楽しむような性格の作品だと思う。
メインの登場人物が女性に置き換えられているためもあってか、エロス表現も前作のストレートかつ乾いた感覚のものから、かなり屈折したものになっているし、ユーモアもやや弱いように感じる。
その分、独特の様式的なセットや、怪奇趣味などが増えていて、前作とは又違った味わいを持った作品になっている…ともいえよう。
今回も、ユニークな殺し屋たちのキャラクター造形が各々面白い。
前作を知らなくても楽しめるし、知っていて色々、両者の要素を比較する楽しみ方もあるだろう。
前作は、クールなスタイルを持った娯楽作として、今でも、比較的多くの人が面白く感じられる性格のものだと思うが、今回の作品は、正直、かなり、観客を選ぶ内容だと感じる。
いわゆる「娯楽作」ではない事を承知の上で観ないと、辛い事になるかも知れない。
個人的には、もう少し、コンパクトに仕上げた方が良かったのではないか…と思うのだが…。