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ピノキオ

最初の長編アニメ「白雪姫」(1938)が大ヒットした、ウォルトは、当然2作目の長編作りに着手する。
スタッフたちの意気込みも並み大抵のものではなく、アニメに関する、ありとあらゆる野心的な試みが、新しい作品に盛り込まれる事になる。
そうして、完成したのが本作である。
1940年公開…、いうまでもなく戦前の作品であるが、今のアニメを見慣れた目にも、色褪せないどころか、現在ではもはや再現不可能では?…と感じるくらいの驚異のテクニックに唖然とさせられる。
滑らかに動くフルアニメの技術に加え、平面的なセル画に距離感を与えるマルチプレーン撮影や、透過光エフェクト、エアブラシによる細密な背景描写など、今日のアニメ技術の基本は、ほとんど本作で完成された…といっても良い程であろう。
前作「白雪姫」では、やや中途半端だった人物描写も、本作では、きちんとアニメキャラクターとして造形され、独自の魅力を持ち得ているし、光と影を大胆に活用した美術も、ファンタジー世界に深い奥行きを与えている。
話自体は、やや説教臭いメッセージが含まれており、そこがいくぶん、今観ると、古臭く感じられないでもないが、濃密な画面作りと、素晴らしい音楽の数々が、本作を、長編アニメの最高峰ともいえる出来映えに仕上げている。
主題歌「星に願いを」は、名曲として、スピルバーグの「未知との遭遇」でも、オマージュ的に使用された事はつとに有名。
筆者は基本的にディズニー好きではないのだが、この作品のすごさだけは認めざるを得ない。
アニメ映画史上、屈指の名作!