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モノリス

タイトルバックに登場する、いかにも安っぽい男女キャラクターが、何と、本編の主役であるだけはなく、刑事という設定であるのにまず驚く。
つまり、全くの無名俳優によるSF+ポリスアクション風の典型的C級作品である。
テレビ用作品なのかも知れない。
ところが、こういう作品に、あのジョン・ハートが出ているから、さらに驚いてしまう。
劇中、「シガニー・ウィーバー」の名前を、主役たちが冗談として使っている所から見ても、明らかに「エイリアン」を意識したキャスティングなのであろう。
ストーリーは、人間の身体を乗っ取る無形タイプのエイリアンを追って、男女刑事コンビが怪し気な組織を捜査していくうちに、太古から眠っていた謎のモノリストという存在に辿り着く…というもの。
SFとしては、いかにも陳腐な設定だし、男女刑事のバディ捜査ものとしても、キャラクターに魅力がない上に、演出にキレもなく、だらだらした印象が続くので、正直観続けるのが辛いほどである。
SFスペクタクルとしても、ポリスアクションとしても、これといったアイデアや迫力が感じられず、正に凡庸を絵に描いたような作品というしかないだろう。
悪役を演じるジョン・ハートも、いかにもクサイ芝居をつらそうに演じており、生活のために、こんな仕事を引き受けたのだろうか?…と同情を禁じ得ないほどである。
エフェクト合成なども、現在の最低水準をかろうじてクリアしているくらいのレベルで、美術的に斬新なシーンなどはほとんどないといって良い。
SFファンであっても、観るだけ時間の無駄…というレベルの作品だといえよう。