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コント55号 宇宙大冒険

1969年度東宝作品。
「東宝チャンピオン祭り」が始まった年の作品で、典型的なプログラムピクチャーの一本。
脚本、ジェームス三木、監督、福田純。
舞台はいきなり、幕末日本。
勤皇党の坂本桂馬(萩本欽一)、新撰組の芹沢角(坂上二郎)、芸者の小菊(高橋紀子)の3人は、不思議な虚無僧(川口浩)に誘われるまま、UFOに乗せられ宇宙へと旅立つ。
実は、虚無僧の正体は、平和過ぎて活力を失ったパラド星からの使いドグマであった。
彼は、野蛮な闘争本能を持つ桂馬と角のパワーをパラド星人に移植しようという計画の為、派遣されたのだったが…というお話。
懐かしい当時の流行語や風俗、エスプリなどがちりばめられ、メッセージ性もある内容なのだが、いかんせん、抱腹絶倒…とはなっていないのが惜しい。
何より、コント55号本来の魅力が十分に生かされているとはいいがたく、脚本通りに役を演じさせられているだけ…という印象。
欽ちゃんの役者としての致命的な下手さ加減など、色々、興味深い発見点はあるものの、コメディ作品としては、笑いがうまく膨らみ切っておらず、ジェームス三木が今一つ、このジャンルに向いていなかったせいかも知れない。
それでも、伴淳、左卜全、塩沢とき、南利明、由利徹ら、懐かしい顔ぶれに加え、カルーセル麻紀がジャンヌ・ダルク役で登場していたり、コント55号といえばお馴染みの「野球拳」(「裏番組をぶっとばせ!」)が登場したり…と、今となっては珍しい画像も色々楽しめる。
群集シーンや特撮シーンもそれなりに丁寧に撮られており、この時代のプログラムピクチャーのレベルを知る上でも貴重な作品ともいえよう。