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沈黙の要塞

「沈黙の〜」というタイトルでくくられてはいるが、いわゆる、ラインバックものではない。
イギリスから、名優マイケル・ケインを招聘し、スティーブン・セガール自らが、自然保護のメッセージ性豊かに描いた意欲作…とするつもりだったのだろうが、自己陶酔性が強く、娯楽アクションもののとしては、大味な作品になっている。
油田開発に強慾な野心を見せるマイケル・ケインの人物造形も、「悪役」としてあまりにも単純過ぎ、そのステレオタイプさが、物語の奥行きを狭くしてしまっている事は否めない。
一方、主役セガールの造形も、ネイティブ・アメリカンとの精神的共鳴とか、いかにも…なキャラクターに作られており、その姿に感動する、しない以前に、違和感を感じてしまう…というのが正直な所だ。
クライマックスの油田アクションシーンは、さすがに予算をかけて、大掛かりな見せ物に仕立て上げているが、それまでの、ドラマの説教臭さ、わざとらしさが裏目となって、今一つ「爽快感」に結びつかない恨みがある。
全体的にテンポが今一つ良くないのも、「メッセージ性」を意識し過ぎたため、中途半端な演出になってしまったためではないだろうか。
それでも、独特の臭み、演出のもたつきなどに目をつぶりさえすれば、それなりに楽しめないでもない作品といえるだろう。